先生という仕事には憧れるけど、こんな何も経験がない私なんかが先生になってもいいの?
教育実習は楽しかったけど、実際に先生として働き出したらもっと大変なことたくさんあるんじゃない?
先生として働きたいと思っているみなさん、教員になることに対してさまざまな不安を抱えて「本当に私に務まるの?」と思ってはいませんか?
実は、採用面接を受ける方でも「不安に思っていることがあって‥」と正直に相談をされる場合が多いです。
先生として働いたことがないので、不安に思うのは当然ですし、教員の仕事に対して魅力を感じているからこそ、不安に感じる気持ちがあるということが教員としての素質の1つかなとも感じます。
今回は、私立学校での人事経験を基に「教員になれるか不安に思うことトップ10」と、それに対する返答をご紹介していきます。
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
この記事を読んで分かること
- 先生になりたいなと思っている就活生が不安を感じていること
- その不安に対しての、私立学校人事としてのリアルな回答
- 不安な気持ちとの上手な付き合い方
ぜひ最後まで読んで、教員になるための就活の参考にしてください。
教員になれるか不安に思うことトップ10
それではまずは、結論から。
就活生が抱える「教員になれるか、不安に思うことトップ10」は以下の通り
- 残業が多く、プライベートとの両立ができるか
- 保護者との信頼関係がうまく築けるか
- 生徒たちとうまくやっていけるか
- いじめや問題行動への対応が自分にできるか
- ふとした一言で生徒を傷つけてしまうのではないか
- 同僚とうまくやっていけるか
- 求められているだけの仕事ができるか(期待にこたえられるか)
- 授業がうまくできるか
- 部活動の指導ができるか
- パソコンが苦手だけど、ICTツールなどを使いこなせるか
これらは実際に人事として、私立学校への応募者と話をしていく中で出てきた不安の声です。そしてどんな不安に対しても「大丈夫です!」とお答えしています。
それでは、詳細を1つずつ解説していきます!
1. 残業が多く、プライベートとの両立ができるか
教員の仕事は残業が多く、また土日も家で授業の準備などで仕事をしないといけない‥というイメージから「プライベートとの両立ができるか‥」と不安に思う声は、本当によく聞きます。
確かに、公立の学校では部活動の指導が大変、会議などで連日残業‥という学校もありますが、私立学校では定時で上がるように言われたり、休みは必ず休むように言われる学校も増えてきています。
また公務員である公立教員とは違って、私立教員は残業をすると残業代が支給されます。
教員確保のためにも職場環境をよくする努力は学校側も行っていますので、無理な残業もなく、プライベートとの両立も可能な学校もあります。
残業が気になる方には、特に私立学校での勤務がオススメです!採用試験を受けるときに、学校情報で残業時間についても確認しましょう。
>公立と私立の学校の特徴については、コチラの記事も参考にしてください▼
2. 保護者との信頼関係がうまく築けるか
大学を出たばかりの新任なのに「先生」と呼ばれ、保護者とも話をしていかないといけない‥そんなこと絶対無理!と不安に思う方も多くいらっしゃいます。
「モンスターペアレント」と呼ばれるような保護者もいると聞くと、不安に思うのも当然ですよね。
ただ、意識してほしいのは【保護者も教員も、子どものことを思う気持ちは一緒】ということです。
教員と保護者が協力関係を作って、子どもの成長を見守っていく、という体制を作れることが理想です。
保護者に対して日常的に気をつけておきたいことは以下の通り。
- 服装や言葉遣いを適切にして、明るくコミュニケーションを取る(人は見た目の印象が大半を占める)
- 小さなことでも「これくらいいいか」と思わずに「念のために、ご心配されると思って」と必ず連絡を入れる(保護者の気持ちにも寄り添う姿勢を見せる)
- 子どもからの情報と先生からの情報が違うとトラブルになる可能性があるので、生徒からの聞き取りを正しく丁寧に行い、そして保護者へ伝える
- チャットや文面で伝えづらいこと、直接的な表現になってしまいそうなときは、電話も適切に使う
- 教員としての生徒たちへの想いや方針も保護者に知ってもらう(こんなクラスにしたい、こんな大人になってほしいと思っている、など)
また、保護者からクレームや意見をもらったらどうしよう‥と思うこともあるかと思いますが、一人で対応しようとせずに、管理職やほかの先生に相談しましょう。
そして対応策を一緒に「学校として」考えていきます。
クレームをもらってからではなく「なんかちょっと気になるな」と違和感を感じたり、不安に感じたことがあれば、その時に管理職へ情報共有しておくのも大切です。
生徒の数と同じだけ(なんなら2倍)の保護者がいれば、価値観や考え方が違うのは当然のことです。誠実に丁寧に対応することを意識して、生徒のことを大事にしていることを伝えていきましょう。
3. 生徒たちとうまくやっていけるか
「生徒たちとうまくやっていけるか不安です‥」という声も本当に多くの方から聞かれます。
新任の先生だけでなく、クラス替えや担当生徒が変わったときにも同じように感じる先生もいらっしゃいます。
ここで考えてみてほしいのは「生徒も初めての先生で緊張している」ということです。
また、最初から「うまくやろう」「私がまとめなきゃ」と考えてやっていると、生徒の気持ちが置いてきぼりになって空回りしたり、余計に距離が空いてしまうことも。
少しずつお互いを知って信頼関係を築いていく、一緒にクラスを作っていく(先生は脇役)くらいの意識で取り組むのが良いです。
生徒あっての教員です。最初からうまくやるのは無理ですし、小さな失敗も必ずします。生徒にたくさん声をかけて、たくさん関わって、信頼関係を作っていきましょう。
4. いじめや問題行動への対応が自分にできるか
「自分のクラスで問題行動が起こったらどうしよう‥」「自分に対応できるかな‥」と不安に思う先生もいらっしゃいます。
いじめや問題行動なんて起こらない方がいいに決まってるので、これも不安に思って当然ですよね。
実際にそういうことが起こった場合は、管理職や他の教員と一緒に対応していくことになります。
一人で対応するわけではないので、そこはご安心ください。
また、いじめや問題行動が起こらないような雰囲気づくりも大切です。
- 相手の意見や考えを認めることが大切、と伝える
- 厳しいこともメリハリをつけて伝える(ただ優しいだけの先生にならない)
といったことを意識して、普段から過ごすのも大切です。
自分に対応できなさそうだと思ったら、早めに管理職や周りの先生に相談します。必ず力になってくれますよ!
5. ふとした一言で生徒を傷つけてしまうのではないか
「自分が発した何気ない一言が、生徒を傷つけてしまうのではないか‥」と不安に感じている先生もいらっしゃいます。
たしかに、思春期や多感な時期の生徒たちにとって、先生からの一言が尾を引きずるように影響を与えてしまうことがあります。
ただ、逆に、生徒と深くかかわっていく仕事なのに、この不安を少しでも感じていない人が教員になることの方が恐ろしい‥と思ったりもします。
自覚がない方が、本当に無意識に傷つけてしまうことがあるからです。
「自分の言動で、生徒を傷つけてしまうのでは‥」という不安を持っている先生は、意識して対応ができる先生だ、ということです。
生徒の気持ちを考えられる、心優しい先生ですね。この不安を感じられる方は、先生に向いていると思います。
6. 同僚とうまくやっていけるか
「職員室の雰囲気はどうか‥」「一緒に働く先生たちの雰囲気は‥?」と同僚の先生とうまくやっていけるかを不安に思う方も多いです。
一般的に退職理由の上位に「人間関係」があるので、こちらも不安に思って当然です。
この不安については、正直学校次第(そこにいる先生次第)‥というところが大きいです。
あえてお伝えするとしたら、新任として意識したいところは以下の通り。
- 素直に・謙虚に先輩や同僚を頼る、きちんとお礼を伝える
- 同じ先生といえど、価値観や考え方はそれぞれであることを意識する(そういう考え方もあるんだ、と割り切る)
- 合わないなと思う先生がいれば、無理に近づかない
新任の先生に対しては、受け入れ態勢や研修が整っている場合が多いです(学校によりますが;)。
私が勤務していた私立学校であれば、メンター制度と言って、責任者ではない先輩が月に1回くらい面談をして、困っていることや悩みを聞くという時間もありました。
職場や先生たちの雰囲気は、学校によってさまざまです。私立学校であれば、事前に見学させてもらえたり学校情報として聞いておくのが良いでしょう。
7. 求められているだけの仕事ができるか(期待にこたえられるか)
「先生として生徒に求められているだけの仕事ができるか」「自分に割り振られた仕事をきちんとこなせるか」といった不安を持つ方もいらっしゃいます。
こういった不安を持つ方は、真面目で責任感の強い方が多い印象です。
繰り返しになりますが、初めての仕事で、やったことがないことなのに、自分に務まるのだろうか‥と自信が持てない気持ちはとてもよくわかります。
ただ、誰でも初めてのことは最初からうまくできません。
新任の先生には、最初からすべて上手にできるなんて誰も思っていませんし、1つずつ覚えて、確実にやれることを増やしていくことの方が大切です。
「自分にできるかな」と不安に思って自信をなくすよりも、「自分にできる範囲で少しずつやってみよう」と前向きに取り組む方が、成長が早いですよ!
人事目線でも、最初は1年かけて仕事に慣れる、仕事を覚えてもらう期間と見ています。ですので、焦らずに1つずつ覚えてやっていきましょう。
8. 授業がうまくできるか
「授業がうまくできるか」という不安も、よーーーく聞きます。
塾講師経験がある方とかであれば別ですが、大学で数回模擬授業を行い、教育実習で数回授業をした、というだけだと「ちゃんと授業できるのかな」と思うのも当然です。
こちらも繰り返しになりますが、最初からうまくいくことなんてほとんどありません。
- 自分なりに試行錯誤をする
- 生徒の反応が良かったところなどを分析し、次の授業に活かす
- 先輩の授業を見学させてもらう
などを繰り返していくことで、授業がうまくなってきます。
授業がうまくいかない‥というのは、実はベテランの先生でも持っている悩みです。難しい単元などは特に、何回やっても「もっとうまくできるかも」と思ってしまうものです。
9. 部活動の指導ができるか
「やったこともないスポーツの顧問になったらどうしよう?どうやって教えるの?」と、部活の指導が自分にできるかを心配する先生もいらっしゃいます。
部活の顧問がしたくて公立の先生を志望する方もいらっしゃいますが、そうでなければ部活の顧問はけっこうツライ仕事ですよね‥。
最近では、地域の方に協力をしていただきスキル的な指導は任せて、教員は全体の管理だけという学校もありますし、私立学校であれば部活の顧問自体、教員がやらなくてもよい、というところもあります。
私の父は中学校教員ですが、バレー部・サッカー部・剣道部‥と指導していました(本人は剣道しかやったことありません)。「毎日の練習内容は本人たちに任せて、けがの対応とか試合の調整とかそんな感じでやってたよ」と言っていましたが‥。
また、自分の経験ではどうしても務まらない!無理!と感じるものであれば、管理職に相談するのも良いでしょう。
私立学校であれば、部活の指導は外の方に入ってもらう場合も多いです。
また、私が勤務していた学校では、教員の得意が活かせる部活を担当してもらっていましたので、まったく経験がないものなどは、担当になることはありませんでした。
10. パソコンが苦手だけど、ICTツールなどを使いこなせるか
今まであまりパソコンを使ってこず、スマホやタブレットなどを使ってきている学生に多いのが「パソコン使えないんですけど‥」という不安です。
授業資料を作ったり、保護者案内の文章を作ったり、生徒指導履歴を入力したり‥と教員も多くの場面でパソコン作業が入ってきます。
とはいえ、エンジニアとしてプログラミングができないといけない‥というレベルではまったくありませんので、少しやれば慣れてくると思います(こういうのは若い方の方が本当に早い!)。
入職前にどうしても不安で気になるようであれば、少し練習をしておいてもいいかもしれません。
また、学校独自でICTツールを入れているようなところもありますので(生徒保護者とのコミュニケーションツールや成績管理ツールなど)、そういったものは入職後に丁寧に教えてもらえるので、ご安心ください。
教員のパソコンスキルで必要なものは、ワード・エクセル・パワーポイント・メールくらいかなと思います。最近はGoogleのサービスを使っている学校もあるので、どんなことができるのか見てみると勉強になりますよ。
不安はあるけど、先生にしかないやりがいもある
ここまで教員になれるか不安に思うことを見てきましたが、同じ不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「大丈夫!」と言われても、やっぱり最後まで不安な気持ちがぬぐえない‥。
不安があって当たり前です。大小ありますが、入職してからも不安はありますし、3年目の先輩教員も苦手なことや初めてやることには不安な気持ちを持っています。
不安な気持ちはとても分かりますが、反対に教員だからこそできることにも目を向けて考えてみてください!
教員には、教員にしかできないやりがいがある、とても魅力的な仕事です。
例えば
- 子どもたちの成長に関わることができる
- 子どもたちと感動を共有できる
- 自分自身が成長できる
などなど、こういった教員の魅力的な部分も一緒に考えて、自分が教員として活躍している姿をイメージしてみてください!
>教員のやりがいや魅力については、コチラの記事も参考にしてください▼
まとめ
今回は、就活生が「教員になれるか不安に思うことトップ10」を実際にの人事経験を基にご紹介しました。
- 残業が多く、プライベートとの両立ができるか
- 保護者との信頼関係がうまく築けるか
- 生徒たちとうまくやっていけるか
- いじめや問題行動への対応が自分にできるか
- ふとした一言で生徒を傷つけてしまうのではないか
- 同僚とうまくやっていけるか
- 求められているだけの仕事ができるか(期待にこたえられるか)
- 授業がうまくできるか
- 部活動の指導ができるか
- パソコンが苦手だけど、ICTツールなどを使いこなせるか
初めてのこと、しかも自分が働いていく職場を探していくとなると「本当に大丈夫かな?」「やっぱりやめておいた方がいいんじゃないかな?」と思う方ばかりです。
ですが、先輩の職員もみなさんそうでした。
人事担当として、毎年同じ不安の相談に乗り、毎年「大丈夫ですよ!」と答えています。笑
最初からすべてがうまくできる人なんていません、だから不安を抱えながらも取り組んでいると、少しずつ自信を持てるようになってきます。
また、どんな学校になるか不安‥という方には私立学校への就職がオススメです。
自分で働く学校を選べるのは大きなメリットですね。
今回の記事を参考に、不安な気持ちを持ちながらでも前向きに「先生になってみてもいいかな」と感じてもらえると嬉しいです!
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