学校の先生になりたいと思っているけど、公立と私立ってどっちの方がいいの?どっちも一緒なの?
「新卒」っていうタイミングは1回しかないから、就職に失敗したくない。何となく先生になりたいなとは思っているけど、先生としてうまくやっていくために就活ってどうすればいいの?
先生になりたいなと思っている学生のみなさん、こんなお悩みを抱えてはいませんか?
「新卒のタイミングって一生に1回だから、就職活動失敗したくない。先生としていいスタートを切りたい。」これは新卒で教員を目指す方が、必ず考えることです。
そこで今回は【新卒で教員を目指すなら私立学校がオススメの理由/メリット7選】を学校人事の経験を基に徹底解説していきます!
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
私は公立教員に囲まれて育ってきましたが、自分が私立学校に勤めたことで「私立の方がよくない?」と感じるようになりました。また学校人事の経験も踏まえて、私立学校で働くことのメリットをご紹介していきます!
この記事を読むと分かること
- 私立学校と公立学校の違いからくる、教員への影響
- 新卒で教員になるなら、私立学校がオススメの理由とメリット
- 私立学校の先生になる方法(採用の流れ)
教員を目指して頑張っている大学生のみなさんへ、無理しない、充実した教員ライフを実現させるために、参考になれば嬉しいです!
私立学校と公立学校の違い
まず、私立学校と公立学校の違い(大前提)を簡単に紹介します。
ざっくりと運営方法と雇用方法が異なり、
- 公立学校 → 地方自治体が運営する学校で、教員は公務員として雇用される
- 私立学校 → 民間の団体や法人によって運営されていて、教員は各学校が直接雇用する
という違いがあります。
また、この違いから以下のような特徴が出てきます。
カリキュラムや授業の自由度
公立学校は教育委員会が管理しているため、国の指導要領に忠実に従う部分が大きく、カリキュラムが比較的固定されています。
ですので、教員が「PBL(プロジェクトベース型)で授業をしたい」と思っていても、制限があって実現できないといったことも多くあります。
一方で私立学校は、各学校独自の教育方針に基づいてカリキュラムが組まれるため、授業内容や進め方に柔軟性があります(大きな方針は国の指導要領に沿っています)。
教員としては、自分の教育理念と近い学校で働くことで、自分なりのアイディアや工夫にあふれた授業ができます。
教員の採用方法
公立学校では、自治体で一律の教員採用試験に合格する必要があります。
一方私立学校では、学校が独自に採用活動を行っており、応募書類や面接が重視される傾向があります。
個人の考えや経験が重視され、内定に至るケースも多いです。
給与や福利厚生
公立学校は、教員は公務員としての雇用のため、年功序列で給与が上がっていきます。また福利厚生は手厚くあるのが特徴です。
私立学校は、企業の一般社員と同じように学校に雇用されるため、給与や福利厚生は学校次第です。
学校によっては、同年代の公立の教員よりも給与が高くなることもあります(が、低くなることももちろんあります)。
ざっくりと公立と私立の違いをご説明しました。働き方として一番大きな違いは、公立は地方自治体が管理する公務員であること、私立は各学校での運営であること、ですね。
>公立と私立の違いはまだまだあります。詳細はコチラの記事も参考にしてください▼
新卒教員に私立学校がおすすめな理由【メリット7つ】
それでは、本題の【新卒教員には私立学校がおすすめな理由/メリット】を解説していきます。
一覧は以下の通り。
- 働く学校を自分で選べるから、働きやすい環境が実現しやすい
- 研修やサポート体制が充実しているから、安心して働ける
- 授業の自由度が高いから、いろんなアイディアや工夫ができる
- 教育設備が充実しているから、質の高い教育が提供しやすい
- キャリアアップのチャンスが多いから、将来の道筋が見えやすい
- 労働環境が整っている学校が多いから、安心して働ける
- 仕事に対する評価が分かりやすいから、モチベーションを保ちやすい
1つずつ、具体的に見ていきましょう。
働く学校を自分で選べるから、働きやすい環境が実現しやすい
冒頭でご紹介したように、公立は一律の教員採用試験に合格してから勤務先の学校が割り振られますが、私立は独自の採用を行っているため、それぞれの学校の採用試験を応募者が受けていくことになります。
つまり、応募者が働きたい学校を自分で選べる、ということ。
働きたい学校を自分で選べるということは
- 自分の教育理念に近い学校を見つけて、そこで働くことができる
→考え方が同じだと、自分のやりたい教育を実現させられる可能性が高い - 職場の雰囲気が良さそうな学校を見つけて、そこで働くことができる
→転職理由の第1位が「職場の人間関係」だそう。人間関係が悪そうな学校は最初から受けない、ということができる
ただでさえ新卒で教員になるのは不安が多いなか、自分で働く学校を選んで応募ができるのはちょっと安心。
研修やサポート体制が充実しているから、安心して働ける
多くの私立学校では、新卒教員向けの研修制度が整っています。
- 学校の概要
- 授業の進め方やクラス運営
- 生徒対応、保護者対応
- 先輩教員がメンターとしてついてくれる(メンター制度)
など、新卒教員が安心して仕事ができるようにしている学校もあります。
また人材育成に力を入れている学校であれば、3~4年目向けの教員研修や責任者研修など、その後のキャリアに合わせた研修を行っていたり、外部講師を招いての研修を行っている学校も。
実務面で教員として働くのが不安‥という方は、研修が手厚い学校を選ぶのも1つですね!
研修制度の充実度は、私立学校によってさまざまです。充実しているところもあれば、反対に現場任せといったところもあるので、応募前に学校情報をしっかりチェックしましょう。
授業の自由度が高いから、いろんなアイディアや工夫ができる
各自治体が一律で運営している公立学校とは違い、私立学校には各学校で教育理念があります。
そのため、各学校の教育内容に特色があり、その特色に合わせた方向性の中で授業や学校行事が行われます。
その特色の中で、各教員が自由にアイディアや工夫をしながら授業を作ることができます。
- 導入部分にオンラインを用いて、生徒に興味を持たせる
- デジタルツールを使って、生徒同士のコミュニケーションを活性化させる
- プロジェクト型の授業で生徒の主体性を伸ばす
など、自由度高く授業をに工夫を凝らすことができます。
「教えるのが好き」「生徒と一緒に授業をしているのが好き」と思っている方には、大きなメリットの1つになります。
新卒1年目で、授業実施の経験を積む時期に、いろいろと自分で試行錯誤をしながら授業に取り組める環境があるのは、教員の基本スキルを上げる意味でもメリットですね。
もちろん、私立学校によっては授業マニュアルなども準備されています。そういったものを参考にしながら、自分なりの工夫を入れていくこともできるので、安心です。
教育設備が充実しているから、質の高い教育が提供しやすい
私立学校では、生徒からいただいた学費を使って教育設備を充実させているところもあり、教員としてその設備や備品を使って質の高い授業を提供することができます。
例えば
- 一人1台のパソコン
- 電子黒板やスマートボード
- 専門的な実験室や研究設備
- 体育、スポーツ施設
- 図書館、メディアセンター
- カフェテリア、食道、売店
など、公立学校よりも充実した設備が整っている学校が多いです。
教員としてもこういった環境で教育活動ができることは、授業でやれることが多くなったり、効率的に生徒の学力を上げることができたりすることにつながります。
また、大学を卒業したばかりの若手の時期に、充実した設備を使いながら授業を提供できるのは、新しいアイディアが出てきたり、ツールの使い方が工夫できたりするのもメリットです。
キャリアアップのチャンスが多いから、将来の道筋が見えやすい
公立学校の教員は、基本的に勤続年数に関わらず、みんな同じ仕事をしています。
また、管理職や責任者のポジション数も限られているので、5年後10年後の自分が働いている姿が想像できない‥と悩んでいる方も多いです。
一方で私立学校には、独自の組織の中でさまざまな役割があり、学校運営にも教員が積極的に関われるチャンスもあります。
例えば、
- 採用人事
- 広報マーケティング
- 本部
- 総務、経理
などの学校運営に関わる仕事も私立学校では経験ができる可能性があります。
また20代後半から30代でも責任ある役割を任されたりすることもあり、職員室を見渡すと、さまざまな役割や役職を持っている教員がいるでしょう。
そのため、新卒1年目の教員でも、3年後5年後のキャリアアップのイメージもつきやすく、安心して仕事に臨むことができます。
さらには、私立学校には授業を担当する教務だけでなく、生徒募集に関わる業務担当もあるので、営業や広報といった役割でスキルアップすることも可能です。
実は、教員から一般企業への転職は難しいとされていますが、私立学校で広報やマーケティングを担当する機会があると、転職時に有利になるスキルも身につけることができますよ!
労働環境が整っている学校が多いから、安心して働ける
教員になることの一番大きな不安は「残業が多く、土日も仕事。プライベートの時間との両立ができないこと」です。
人事担当として公立からの転職者を対応していると、みなさん口をそろえて「残業が多すぎて、働き続けるのが難しい‥」と言われていました。
一方私立学校では、残業ナシで定時に帰れるのが普通、休日は一切学校のことをしない、という教員が働きやすい環境が整っているところも多いです。
それは、先生に辞められてしまうことを避けるため。
私立学校は直接教員を雇用するため採用にかかるコストがとても大きく、一度採用した先生が辞めてしまうというのは学校にとっても大きな損失になるのです。
そのため、良い人材(先生)に長く続けてもらうために、職場環境を改善している学校が多いのです。
「残業が多くて、プライベートの時間が取れるか‥」「1~2年間は自分の時間なんてないのか‥」と思っている新卒教員にとっても、仕事とプライベートのバランスが取りやすいのは大きなメリットの1つです。
仕事に対する評価が分かりやすいから、モチベーションを保ちやすい
公立学校では、年功序列で給料が決まっているため、自分の頑張りが直接給与となって反映されることがありません。
ですので「自分はこんなに頑張ってるのに、全然評価されている気がしない‥」「何であの先生の方が高い給料もらってるの?」というモヤモヤした気持ちが出てくることも。
一方私立学校では、一般企業と同じように評価基準が明確に出されていて、結果を出せば給与に反映されることが多いです。
自分が努力して結果を出せば、その分給料に反映されるという分かりやすい評価があるので、モチベーションを保ちやすいのがメリット。
新卒1年目だから何をしても評価につながらない、なんてことはまったくなく、きちんと求められていることに対して結果を出せば、その分評価が上がっていきます。
評価基準は学校がその教員に求めている姿から設定されるので、学校の方針(教育理念)をきちんと理解して、自分の力が発揮されやすい環境かどうかは確認するのがいいですね!
例えば、進学校であれば生徒の学力を伸ばせる先生が評価されるし、生徒ひとり一人に寄り添う学校であれば細かい生徒対応ができる先生が評価される、といった感じです。
自分の仕事がどのように学校に貢献できているのかが目に見えて分かるので、やりがいにもつながりそう!
私立学校教員のキャリアパス
新卒で私立学校に就職したらいいことは何となくわかったけど、私立学校教員ってどんなキャリアパスがあるの?5年後10年後ってどんな感じ?
ここからは、私立学校教員のキャリアパスをご説明します。
大きく分けて以下の3つ。
- 私立学校の教員としてキャリアアップする
→同じ学校で責任者や管理職を目指して専門性を深めてステップアップをしていく、あるいは学校運営に関わる仕事(採用や広報、経理など)の担当者として幅広いスキルを身につけていく方法や、別の私立学校に転職をして職場環境を変えることでキャリアアップを目指す - 教員採用試験を受け、公立の学校へ転職する
→私立学校から公立学校への転職も可能。
ただ、私立学校の教員として働きながら教員採用試験対策をするのはハードルが高いと感じる方もいらっしゃいます。 - 教員として培ったスキルを活かして、一般企業に転職する
→私立学校に就職する1つのメリットとして、学校運営に関わる仕事ができることがあります。例えば、採用人事・広報マーケティング・経理・総務‥など。こういったスキルを活かして、一般企業に転職することもできます。
もちろん、ずっと同じ学校で教員として働きたいと思う方もいらっしゃいます。
学校によって描けるキャリアプランが異なるので、情報収集しておきましょう!
新卒で私立学校教員をめざすことのデメリット
メリットはたくさんあると分かったけど、逆にデメリットは何もないの?
新卒で私立学校教員になるデメリットも、以下3点について丁寧に解説していきます!
- 公務員ではないこと
- 人間関係が固定化される傾向がある
- 学校によってさまざま
考え方は人それぞれですので、私立学校の特徴がデメリットに感じる方もいらっしゃいます。
公務員ではないこと
働き方として一番気になる方が多いのは「公務員ではない」こと、ではないでしょうか。
給料が年功序列で上がっていくことや、雇用が保証されているといった安定の生活を魅力に感じる方には、新卒から私立学校教員になることはデメリットになるかもしれません。
人間関係が固定化される傾向がある
私立学校では、定期的な異動もなく、また採用スケジュールも不定期です。
そのため、居心地が悪いな‥雰囲気悪いな‥と感じる人間関係だと、長く続けるのは難しいでしょう。
特に新卒で入職して同期が誰もいないという場合は、「自分が一番若手だから‥」と変に気を遣って仕事しないといけないので疲れてしまいます。
とても良い先生たちに恵まれれば、その先生たちが退職するまで環境が変わらないのはメリットになるかもしれませんが、人間関係が固定化されがちなことがデメリットになる場合もあります。
学校によってさまざま
教育委員会が入って一律で管理運営されている公立学校とは違い、私立学校は各学校で運営されているので、文科省の大きな方針は意識していますが、細かいほぼすべてのことが【学校次第】です。
- 学校の教育理念、教育観
- 授業のやり方、学校行事
- 教員採用や教員の人数、学校規模
- 教員の評価基準、給料やボーナス
- 学校の雰囲気(生徒・保護者・同僚の先生)
こういったこと全てが、各学校の特色によって異なってきます。
もちろん完全に自由にやっていいよというわけではなく、在籍する自治体(都道府県)に学校全体を管理するセクション「私学協会」があり、定期的に運営状況などを報告してはいます。
単位認定や在籍生徒と教員数のルールなど、学校としての最低限の部分は厳しくチェックされます。
が、大きなルールを外さなけば細かい運営は学校に任されており、それが各学校の特色として表れます。
文科省や都道府県の存在はあるので、適当な運営をしている学校はないと思いますが、この点は人によってはデメリットになる場合もあります。
「こんな学校で働きたい」「こんな教育をしたい」という想いがある方は、特色を出せる私立学校の方が絶対に向いていると思います!
私立学校教員になる方法
最後に、私立学校教員になる方法をご紹介します。
一般的には以下の流れで進んでいきます。
- 学校の情報収集を行う
- 応募書類を作成し、提出する
- 採用試験対策(面接対策、模擬試験対策など)を行う
- 面接、試験を受ける
- 内定
私立学校では、教員採用も各学校独自のスケジュール・試験内容で行っているので、応募したい学校の採用情報をしっかりと確認していくことが大切です。
情報収集で使えるサイト
私立学校の採用情報は、ポータルサイトで比較しながら見つけることができます。
人事経験から、おなじみのところを参考までに出しておきます。
- 教員採用.jp
→合同説明会など、学校の人と直接触れ合えるイベントの情報もあります - 日本私学教育研究所
→各都道府県別に私立学校の情報が手に入ります - 人材教育センター
→1都3県の私立学校の求人情報が紹介されている、就職までのサポートも無料でしてもらえるエージェント
まずはたくさんの学校情報を見てみましょう!各学校、特色を出して教育活動をしていますので「こんな教育方法もあるんだ」と勉強になることもあるかもしれません。
まとめ
今回は「新卒で教員を目指すなら私立学校がオススメの理由」ということで、メリット7つをご紹介しました。
- 働く学校を自分で選べるから、働きやすい環境が実現しやすい
- 研修やサポート体制が充実しているから、安心して働ける
- 授業の自由度が高いから、いろんなアイディアや工夫ができる
- 教育設備が充実しているから、質の高い教育が提供しやすい
- キャリアアップのチャンスが多いから、将来の道筋が見えやすい
- 労働環境が整っている学校が多いから、安心して働ける
- 仕事に対する評価が分かりやすいから、モチベーションを保ちやすい
社会人として働き始める不安の多い時期だからこそ、私立学校への就職はメリットが多いです。
無理しない、充実した教員ライフが送れるように、参考になれば嬉しいです!
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