最近「通信制高校を選ぶ生徒が増えた」ってよく聞くけど、実際どんな感じなの?全日制と比べて何がいいの?
通信制高校の数も増えてるらしいけど、通信制で教員として働くってどうなんだろう?就職しやすいとかあるの?
教員志望のみなさま、通信制高校についてこんなお悩みを持ってはいませんか?
実は今、通信制高校を選ぶ生徒が今まで以上に多くなってきており、在籍者数は29万人を超え、高校生の10~11人に1人が通信制高校に在籍しているという調査結果もあります。(令和6年/学校基本調査より)
しかし「自分は全日制だったし‥通信制って実際どうなの?」という方も多いですよね。
そこで今回は、私立通信制高校で教員として働くやりがいとリアルについて、通信制高校の人事担当経験を活かしてご紹介します!
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
この記事を読んで分かること
- 通信制高校の仕組みと教員の仕事
- 通信制高校で教員として働くことの魅力
- 自分が通信制高校の教員に向いているかどうか
ぜひ最後まで読んで、通信制高校も選択肢の1つとして、教員をめざす就職活動の参考にしていただければ幸いです。
そもそも通信制高校とは?
全日制の高校に通っていた方にとっては、通信制高校になじみのない方もいらっしゃると思います。
何を隠そう、ブログ主も全日制の高校出身なので、最初は「通信制高校って何?」というところから始まりました笑。
まずは、通信制高校の仕組みからご説明します!
通信制高校の仕組み
通信制高校は、日本の高校の1つで、柔軟な学習スタイルを提供する学校です。
決められた日数を学校に登校しないといけない全日制や定時制とは異なり、生徒が自宅で学習を進めながら卒業に必要な単位を取得することが可能。
ですので、通学が難しい生徒や自分のペースで学びたい生徒に選ばれています。
【通信制高校のとは】
- 一条校であることは変わらない
通信制高校は、全日制や定時制と同じ「一条校」(学校教育法第1条に基づく正式な学校)であるため、卒業すると他の学校と同じように高校卒業の資格を得ることができます。
高校卒業するための「①74単位以上の修得、②通算3年間以上の在籍、③3年間で30時間以上の特別活動への参加」は通信制高校でも全日制、定時制でも同様です。 - 単位の取り方
通信制高校では、単位制を採用しています。生徒は課題(レポート)を提出したり、スクーリング(決められた日数の対面授業)に参加することで、卒業に必要な単位を修得します。
スクーリングは年に1週間程度の学校もあり、それにより自分のスケジュールや生活状況に合わせて学習を進められます。 - 高校とサポート校の仕組み
通信制高校には【高校そのもの】と、学習を補助する【サポート校】が提携している場合があります。電話やメールなどでの学習サポートだけでは不安、という生徒のためにサポート校で個別に学習補助を行ったりしています。
※通信制高校は文科省の認可を受けた正式な高校ですが、サポート校は民間の教育機関(いわゆる塾と同じ)です。高校で働く教員には教員免許が必要ですが、実はサポート校で働くだけであれば教員免許は必要ありません。
通信制高校が人気になっている背景は?
冒頭でもご紹介した通り、ここ最近通信制高校を選ぶ生徒が増えてきています。
「通信制高校と言えば不登校の生徒が通う学校」というイメージがあるかもしれませんが、最近はそうじゃない生徒も通信制高校を選んでいます。
その理由は‥
- 全日制の一律の教育スタイルに疑問を感じる
- 自分に合った教育を受けたい
- 学業に縛られずに、さまざまな経験体験をしたい
など、積極的に通信制高校を選ぶ生徒も増えてきています。
【特色の出せる私立学校】+【通信制高校だからできること】に魅力を感じる生徒保護者が増えてきている、ということですね。
この背景を受けて、通信制高校の数が増えてきているだけでなく、全日制の高校に「通信制過程」を設ける学校も出てきています。
実際に働いていたときも、学力も高く毎日登校できる生徒の数も増えてきている印象でした。どこにでもいる、普通の高校生がたくさんいます。
通信制高校で教員として働く魅力
通信制高校のことが分かったところで、教員として通信制高校で働くことの魅力についてもお伝えしていきます。
ぜひ、就職先の1つの選択肢として通信制高校で働くことも考えてみてもらえるといいと思います。
1. 生徒一人ひとりに寄り添ったサポートができる
通信制高校では、一人ひとりの生徒がそれぞれのペースで学習を進めます。
サポート校へ通ってくる生徒もいますが、家庭の事情や病気などで通学するのが難しい生徒もいます。
教員は、そういった生徒の個別の状況に合わせながらサポートすることが求められ、全日制での生徒との関わりよりも深い人間関係を作ることになります。
一人の生徒と深く関わることで、その生徒が何か成し遂げたとき(例えば成績が上がったときや、プレゼン発表などで本番を終えたときなど)には、教員として人一倍、大きな達成感を感じることができます。
2.柔軟な働き方ができる
通信制高校で働く教員は、全日制の学校で働くよりも柔軟な働き方ができる可能性があります。
私が働いていた学校でも
- 授業がオンラインで行われるため、在宅で授業を行う
- 午前中は自宅で事務作業を行い、午後は生徒と面談のため学校に出勤する
- 自分が担当する生徒が登校しないので、平日の1日は必ず休みを取る
といった感じで、時間と場所に縛られない働き方が許されていました。
全日制の学校は、平日朝から夕方まで生徒が学校に来てその対応をしないといけないですが、通信制高校では、教員として柔軟に働くことができます。
ワークライフバランスを重視して働きたい人には、ピッタリの職場です!
3.生徒との信頼関係が深い
冒頭にご紹介したように、通信制高校の生徒はさまざまな背景を持っています。
例えば、以下のような生徒が数多くいます。
- 一般的な全日制の一律の教育に対して疑問を持っている
- 個別でよりよく学べる環境を求めている
- 学校での人間関係に悩んで不登校になった
- 仕事をしながら高校生をしている
- 病気を持っていて、思うように動けない
教員として、こういった背景を持つ生徒にしっかり寄り添い、サポートを続けることで、生徒と教員との間に深い信頼関係を築くことができます。
卒業時に「先生のおかげで無事に卒業できました!ありがとう!」という言葉を生徒からもらえると、教員としてやりがいを強く感じます。
4.ICT教育を実施することができる
通信制高校では、オンライン学習やリモート授業が大きな役割を果たしています。
そのため、教員は日常的にICTを活用した最新の教育ツールやシステムを使って授業を進めます。
例えば、ZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議システムを使ったり、生徒とのコミュニケーションツールや課題管理にもICTシステムを使ったり。
ICTツールを使う経験は、教員として今後重要になってくるスキルですし、他の教育現場でも活かして仕事することができます。
また、ICTを活用することで、場所を問わず、全国どこからでも、何なら海外からでも指導ができる柔軟性が広がる点も良いところです。
5.教員としてのスキルが伸びる
通信制高校での勤務は、教員としてのスキルや経験が大きく伸びていきます。
- さまざまな生徒や保護者の対応
- さまざまな価値観を持った生徒との関わり
- 学力だけでなく、人間力を伸ばす教育
- 社会性を身につける指導
- 進路指導(大学進学や留学、就職サポート)
など、さまざまな生徒の対応を通して、教員としてもできることの幅が広がり、転職をして他の学校に移ったときでも重宝されるスキルと経験になります。
授業を教えて学力を伸ばすだけが仕事ではない、生徒ひとり一人に丁寧に寄り添ってサポートすることができるのが、通信制高校の教員の魅力ですね!
通信制高校の教員のリアル【体験談あり】
それでは、実際に通信制高校の教員ってどんな仕事をしているのかを解説していきます!
全日制の学校 | 通信制の学校・サポート校 | |
普段の授業スタイル | 1日5~7コマ、対面授業 | オンライン授業が多く実施される。スクーリング以外はオンライン授業のこともあるので、週4~5日になる場合も。授業のコマ数は学校によって異なり、また出席するかは生徒次第。 |
クラス担当 | 1クラス40人 | 「クラス」というものは存在しない。教員1人当たりの担当数が35~40名。学年混合。 |
生徒対応 | 基本的にクラス単位。問題行動のある生徒は個別対応。 | 生徒の学習進度や生活リズムに合わせた完全個別指導。 |
授業以外の仕事 | 成績管理、試験準備、保護者対応など | レポート(課題)のチェック、生徒・保護者との連絡 |
スクーリング | (実施ナシ) | スクーリング時は決められた時間数の授業の実施(対面)。 |
公立高校との違いは上記の通りですが、通信制高校(本体)と、サポート校(塾)で役割分担をして運営している学校が多くあり、それぞれの教員では働き方が異なります。
■通信制高校(本体)の教員
通信制高校そのものには、生徒がスクーリングを受けるために登校しますので、教員はスクーリングの対応をメインの仕事とします。
決められた時間割通りに対面授業を行い、学力面のサポートをすることが多いです。
学校によってはスクーリングを泊まり込みで行う場合もあるので、生活面の管理も仕事になってくることもあります。
■サポート校(塾)の教員
サポート校では、生徒がレポート(課題)の提出が遅れないように学力面の指導をしたり、さまざまな行事やイベントを行って生徒の体験学習を促したりしています。
~体験談~
筆者がいた学校では、午前中はオンライン授業3コマあり(教員は授業担当したり、机間巡視だけしたり)、午後は生徒の個別の活動(進学に向けて勉強したり、福祉やプログラミングのコースを受講したり、国際的な交流をしたり)のサポートを行っていました。
夕方には授業はすべて終わり、生徒保護者対応で電話をしたり、事務仕事を片付けて、18時の定時には帰宅する、というサイクルです。
レポート課題の締め切り前になると溜めに溜めた課題をやるために生徒が登校するので、その対応で時間が割かれましたが、それ以外の時期は基本的に残業はありません。
また生徒の個別の状況に対応するために、進路指導や留学準備、学習サポートなど幅広い知識が必要にはなりますが、それぞれに担当教員がいるので、自分一人ですべて抱える必要はまったくありませんでした。
精神的に重たい生徒や病気を持っている生徒でも、外部の専門家にアドバイスをもらえる仕組みがあったので、自分では分からないところは依頼していました。
通信制高校にも、学校によってさまざまな特徴があります。授業時間数の制限が少ないことをメリットと捉え、学力以外の体験活動や生徒の興味関心に沿ったコースを展開しているところもありますよ!
【人事が教える】通信制高校の先生に向いている人の特徴
学校人事として、通信制高校の教員採用にも長く携わってきた筆者が、通信制高校の先生に向いている人の特徴をご紹介します。
学校選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【通信制高校の先生に向いている人の特徴】
- 生徒と深く関わり、成長に寄り添いたい人
→「学力を上げること」よりも、生徒の成長や変化を見守ることの方が多い職場です。 - 根気強く生徒と向き合い、「まだできる」と諦めの悪い人
→不器用な生徒も多いので、うまくいかないことや失敗することの方が多いですが、先生が諦めずにサポートし続けることが大切です。 - コミュニケーション能力がある人
→本当にいろんな生徒がいます。それぞれに合わせたコミュニケーションを工夫できるスキルがあると強いです。 - 臨機応変に対応することができる人
→全日制の学校以上に、予定通りに進まないことだらけの日常。何が大切かをパッと判断できて、臨機黄変な対応をしないといけないことも多いです。 - 新しいことを柔軟に受け入れることができる人
→私立学校全般に言えることですが、学校として新しいことをやり続ける姿勢があります。新しい教育ツールやイベントなど、柔軟に受け入れて楽しむことができる人は強いです。
通信制高校の特徴と、ご自身の教育理念が合うのであれば、魅力的な職場の1つになること間違いなしです!
通信制高校の教員になることも選択肢の1つに
冒頭にご紹介した通り、通信制高校の数も生徒数も右肩上がりの今、それに伴って教員採用の数も増えてきています(学校を運営するには、先生は絶対必要ですからね)。
高校と言えば「全日制」という当たり前が壊れようとしている状況で、柔軟な働き方ができたりや自分の教育理念を実現できる学校も多くなってきています。
通信制高校で働くのも、悪くなさそう~
そう感じた方は、ぜひ学校情報を探してみてください。
全日制の私立学校と同じように、採用情報はポータルサイトや学校の公式サイトで出ています。
人事としても良く使っていた、参考になるサイトを載せておきます↓
>自分に合う学校の探し方については、コチラの記事も参考にしてください▼
自分に合う学校探しにはエージェントを利用しよう
「通信制高校も面白そうだけど、どこの学校がいいんだろう?」「自分に合う学校ってどうやって探すのがいいんだろう?」と不安な方は、思い切ってエージェントを使ってみましょう!
転職や就職といった、初めての経験を自分一人で乗り越えるのは大変です。
KIMINARAではご自身の考えや理想を整理してくれ、一人ひとりに合ったエージェントを紹介してくれるので、安心してお任せできます。
誰にも相談できなくて困っている方はぜひ、活用してみてくださいね!
まとめ
今回は「通信制高校で働く教員のやりがいとリアルな日常」ということで、通信制高校で働くことについてご紹介してきました。
通信制高校で働く教員のやりがいは、以下の通りでした。
- 生徒一人ひとりに寄り添ったサポートができる
- 柔軟な働き方ができる
- 生徒との信頼関係が深い
- ICT教育を実施することができる
- 教員としてのスキルが伸びる
通信制高校は、全日制の学校とは異なり、生徒の個別ニーズにこたえる教育ができるのが大きな特徴です。
自分の教育理念や教育観に合った学校が、通信制の学校にあるかもしれません。ぜひ、選択肢の1つとして見てみてください。
以上、無理しない、充実した教員ライフが送れるよう、就活の参考になったら嬉しいです!
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