教育学部の先輩で、教員にならない人も多いって聞いたけど‥教員にならない人はどんな就職先を選んでいるの?
教員になりたいと思ってはいるけど‥でも本当になれるか不安。教育学部卒でも教員になる以外の道ってあるの?少し比較して考えてみようかな。
先生になりたいな~と思って教職課程を取っている大学生のみなさん、こんなお悩みを抱えてはいませんか?
実は、教育学部生や教職課程を取っている学生でも、卒業後に教員にならない人はとても多く、文科省の調査結果でも国立の教員養成大学・学部卒の約25%の方が教員以外仕事を選んでいると出ています。
教員就職者 | 保育士就職者 | それ以外の就職者 | 大学院進学者 | 未就職 | 卒業者(計) | |
令和4年3月卒業者 | 6,851 | 191 | 2,890 | 966 | 507 | 11,405 |
どこに就職しているんだろう?
何で教員にならなかったんだろう?
自分はどうしよう?
と思う方のために、今回は【教育学部生にオススメの教員以外の就職先7選】を私立学校の人事担当経験を踏まえてご紹介していきます。
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
この記事を読んで分かること
- 教員にならない教育学部生が考えていることが分かる
- 教育学部生におすすめの教員以外の就職先とその理由
- 教員になりたいかどうしようか迷ったら考えるべきこと
「本当に先生になりたいのか分からない‥」と不安を抱えている方へ、就職活動の参考にしていただければ嬉しいです!
教員になりたい気持ちと不安な気持ち
まず初めに、教育学部生の多くが抱えている、教員になりたいと思う気持ちと本当になれるかな‥と思う気持ちの部分を見てみましょう!
今現在、教育学部に入っているとか、教職課程を取っているという方は、今までに1回でも「先生になりたいな」と思った方でしょう。
絶対に教員になんてならない!って思っていたら、わざわざ専門性を狭めたり、教員になるようにより多くの授業を取るなんてことはしませんよね。
教員になりたい気持ち
教員になりたいなと思う方は、「憧れの先生がいる」とか「教員にしか感じられないやりがいに魅力を感じる」といった理由が多いです。
例えば‥
- 子どもたちの成長をサポートしたり、感動を共有できる
- 専門分野を活かして仕事ができる
- 自分自身が成長できる
- 子どもたちや保護者から感謝される
こういったところは、教員だからこそのやりがいですね!
>教員のやりがいについては、コチラの記事も参考にしてください▼
教員になることに対する不安な気持ち
「教員になりたいな」と思う一方で「本当に私に先生なんて務まるの?」と不安な気持ちを抱えている方も多いです。
採用面接をしていても、質問事項で「教員として働くためにやっておいた方がいいことは?」などと聞かれる方もいらっしゃいます。今の自分のままでは不安‥という気持ちがあるのだと思います。
具体的には
- 残業が多く、プライベートとの両立ができるか
- 生徒や保護者との信頼関係がうまく築けるか
- 職場の人間関係
- 授業がうまくできるか、生徒たちに呆れられないか
といったことに対して不安な気持ちを抱えている方もいらっしゃいます。
>教員になれるか不安に思うことについては、コチラの記事も参考にしてください▼
教員になりたい気持ちと裏腹に、その不安やプレッシャーから教員になることを悩んでしまっている方もいるのですね。
教職以外の道でも教育の知識は活かせる
実は、教育学部や教職課程を通して得ることのできる知識やスキルは、教員以外の職場でも重宝されるのです。
例えば
- 人にものを分かりやすく教える力、プレゼン力
- コミュニケーション能力
- 人の成長に寄り添ってサポートできる力(問題解決能力)
- 教育心理学や人間理解
など、教育現場以外でも教育的視点を持って仕事に取り組める人は、一般企業でも非常に重宝されます。
一般企業で働くことのイメージってまだあまりできないけど、教えるとか教育は学校だけでされているものではないんだね。
教員以外のオススメの就職先 7選
それでは、教育学部や教職課程で身につけられる知識を活かせる、教員以外のオススメの就職先をご紹介していきます!
先に7つ、ご紹介すると‥
- 一般企業向けの人材育成講師、研修担当者
- 教育関連のEdTech(エドテック)企業
- 自治体や教育行政の公務員
- キャリアカウンセリング・教育カウンセラー
- 塾講師、予備校の運営スタッフ
- 教育系出版社・編集者
- 教育関連の営業職(教材・教育ツールの販売)
教育関係というだけでも、こんなにたくさんの仕事があるんだね!
一般企業向けの人材育成研修担当、採用・人事担当
教育学部で学んだ「人にものを分かりやすく教えるスキル」を活かして、企業内での社員に対する研修を担当する仕事です。
また、人材育成は人事が担っている企業もあるので、「コミュニケーション力」を活かして採用・人事担当としても活躍できます。
教員とは違い、相手は大人ですが、社員の成長を直接サポートできる点では、教員に通じるやりがいがあります。
教える楽しさや、人の成長に寄り添えることにやりがいを持っている方にはオススメの仕事です!
教育関連のスタートアップやEdTech企業
EdTech(エドテック)とは
EdTechは、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、テクノロジーを用いて教育を支援する仕組みやサービスを指します。生徒向けの学習支援システムや教師のための授業支援システム、英会話やプログラミングなどをインターネット上で学習することができるサービス、学校での利用を主眼に置いたSNSなど、EdTechに分類できるサービスは数多く登場しています。
docomo business watch>IT用語集>EdTech(エドテックとは)?
テクノロジーを使って教育を発展させようとする分野は、急成長しており、教育学部出身者が新たな教育ツールの開発や、マーケティングに携わる機会も増えています。
教育現場に関する知識をもとに、生徒が楽しく学べる学習ツールや、教員の作業が楽になるようなソフトウェアの開発などを行う仕事です。
最近ではGoogleの教育サービスを取り入れる学校なども増えてきているので、効果的な使い方を支援するといった企業も増えてきていますね。
テクノロジーに興味がある方や、教育手法などに興味がある方には、特にオススメのお仕事です!
自治体や教育行政の公務員
地域に多くある学校を束ねているのが自治体の教育担当の部署(教育委員会など)です。
教員として働くことは、一人ひとりの生徒の成長を身近でサポートする仕事ですが、自治体の教育政策を担当することは、広く地域の教育に関わることが仕事になります。
教育学部で学んできた知識を活かしながら、地域特有の教育課題などに取り組むことができたり、地域に大きく貢献できたりするのは、大きなやりがいになりますね。
生まれ育ってきた地域の教育的な課題を感じている人にとっては、自分の力で教育を変えられることが魅力的な仕事ですね!
カウンセリング・教育カウンセラー
直接「教員」という形で生徒と関わるわけではないですが、教育カウンセラーという仕事も学校教育ではとても重要な役割を担っています。
特に、生徒ひとり一人の個性を活かした、個別の教育が求められている今日この頃では、カウンセラーが生徒に寄り添うことで、安心感を作っている学校もあります。
教育学部で身につけてきた「コミュニケーション力」や「人に寄り添う力」「心理学」などのスキルを活かすことができるお仕事です。
また、教員として働きながらカウンセラーとしても経験を積み、将来的にはカウンセラーとして専任で働くということも可能です。
教員とは違う視点で生徒の寄り添うことができるのが、この教育カウンセラー。また、教員を対象としたカウンセリングも最近は人気です。
学習塾や予備校の運営スタッフ
英語や数学などの専門性を活かせ、「教えることが好き」「分かった!と言ってもらえることが嬉しい」といった方には、学習塾や予備校のスタッフとして働くこともオススメです。
学校教員は、生徒の学力だけではなく、委員会や部活動、クラス運営など学校生活全般を見ていく幅の広い仕事ですが、裏を返せば学力UPだけに集中できる環境ではありません。
生徒が学力をつけることや、新しいことを集中して学べる環境で働きたい、という方には、教員よりもオススメです。
塾講師は、授業や教えることに専念できるので、勉強する楽しさを教えたい!自分の専門性をより深めていきたい!という方は教員よりも向いているかもしれません。
教育関連の営業職(教材・教育ツールの販売など)
営業!と聞いてビックリされた方もいらっしゃるかもしれませんが、営業とは相手のお悩み解決の方法を一緒に考え、提案する仕事です。
教育現場でも、学校や塾などに教材や教育ツールを販売する営業職があり、学校が抱える課題や問題をツールや商品を紹介することで一緒に解決していきます。
教育学部出身で、教育現場のことを知っていて、かつコミュニケーション力があるというのは、教育関連の営業職にはうってつけの人材です。
自分が学生時代にお世話になった企業のサービスなどがあれば、それを提供することで、今悩みを持っている学校がよりよい教育を提供できるようになる、そのお手伝いができる、というのは魅力的ですね。
特に私立学校では、外部の教育サービスを取り入れて教育の質を上げているところも多いです。営業さんとのやり取りや、新しい教育ツールの紹介などは、新しい情報もいただけるので、とてもありがたいなと思います!
教育系の出版社・編集者
参考書や教科書、教材を制作する出版社での勤務や、編集者として働くことも、教育学部出身の方にはオススメです。
教員の視点から、効果的な教材や指導方法を企画して、商品として制作するのが仕事です。
自分の学生時代の経験や、教職課程での学びを活かして、どんな参考書や教材があれば、教員が使いやすく、生徒が楽しく学べるかを考えながら仕事ができます。
本屋さんなどで自分が関わった教材が売られることになるので、「目の前の一人のため」ではなく、不特定だけど多くの生徒・教員のために働くことができる仕事です。
自分が子どもだったときに「こんな参考書あったらよかったのに~」と思うようなことがあれば、それを形にできる仕事ですね!
他にも仕事を探すなら‥
7つ以外にも、どんな仕事があるのか知りたい!という方は、就活サイトやエージェントの力を借りるのも良いでしょう。
また、自分に合った仕事を探せる診断を受けてみるのも、おもしろいですよ!
それでも教員という選択が魅力的な理由【子どもとの関わり】
ここまで、教育学部出身の方におすすめの、教員以外の職業をご紹介してきました。
教職課程で学んだことを活かしながら活躍できる仕事は、教員の他にもたくさんあることが分かりましたね。
でも、おそらく多くの方は「教員になるのを諦めきれない‥」と思うのではないでしょうか。
それはやはり教員という仕事でしかできないこと、感じられないやりがいがあるからだと思います!
- 生徒と直接触れ合って、同じ時間を一緒に過ごす
- 楽しいこともツライことも、一緒に感情を共有する
- 学力だけじゃない、人としての成長に寄り添うことができる
- 自分自身も成長できる
「こんなにも生徒に泣かされるのか(良い意味でも悪い意味でも。笑)」と思わされる仕事は、教員のほかにはありません。
やっぱり教員が気になる‥という方であれば、一度教員として働いてみてから、上記で紹介した他の仕事に転職することも可能です。
教育学部卒だけでなく、教員としての現場経験を持って転職をすれば、より戦力として活躍できるものばかりです。
もちろん、教員として働くことは大変なことも多いです。ただ、いろんな形で教育に携わることができると知って教員を選ぶことができれば、不必要に自分を犠牲にすることなく、バランスよく仕事をしていけるかなと思います。
まとめ
今回は、教員以外にも教育学部で学んだスキルを活かせる仕事を紹介してきました。
オススメは以下の7つ。
- 一般企業向けの人材育成講師、研修担当者
- 教育関連のEdTech(エドテック)企業
- 自治体や教育行政の公務員
- キャリアカウンセリング・教育カウンセラー
- 塾講師、予備校の運営スタッフ
- 教育系出版社・編集者
- 教育関連の営業職(教材・教育ツールの販売)
教員以外にも教職課程を活かして仕事をすることはできますが、それでもやっぱり教員が気になる!という方は、教員になってから後々転職を考える道もアリだと思います。
「教員以外の形で教育に携わることができる仕事がある」ということを知った上で、教員を選ぶというのは、心穏やかに教員として働くことにつながります(教員しかない!と思っていると、ストレスMAXでも転職に踏み切れないので‥)。
やっぱり教員をやりたい!と思った方がいらっしゃれば、無理しない充実した教員ライフを実現させられるように、今回の記事を参考にしていただければ幸いです!
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