私立学校の教員になりたいなと思っているけど、学校もたくさんあるし、自分に合う学校ってどうやって見つけたらいいか分からない。
学校情報を見てはいるけど、そこに書かれていることって実際どうなの?入ってから後悔したくないからい、絶対に見ておいた方がいいところとかあれば教えてほしい。
私立学校の教員になりたいなと思っている大学生のみなさん、就職活動中にこんなお悩みをお持ちではないですか?
私立学校の情報をたくさん見てはいるけど、実際にその学校が自分に合うかどうか分からなかったり、どの情報に注意して選べばいいのかが分からないという方も多いです。
そこで今回は、私立学校での人事担当経験を基に「学校選びで後悔しないためのチェックポイント9選」をご紹介します!
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
この記事を読むと分かること
- 私立学校選びで絶対に確認するべきポイント
- 求人票に書かれている情報の本当の意味
- 自分に合う学校の選び方
ぜひ最後まで読んでいただいて、理想の私立学校を探す参考にしていただければ幸いです。
学校選びで後悔しないためのチェックポイント9選
それでは、まず結論から。
自分に合う私立学校を探すために、必ずチェックしてほしいポイントは以下の9つ。
- 学校の教育理念、教育方針
- 学校の校風や文化
- 生徒の学力や進学実績、卒業後の進路
- 教育環境、学校設備
- 1年目のメインの担当業務内容
- 勤務条件や福利厚生
- 新卒教員に対する教育体制とサポート体制
- キャリアプラン
- 学校行事
一つずつ、詳しく見ていきましょう!
結構たくさんのポイントを見ないといけないんだね‥。でも自分が実際に働く学校だから、手は抜きたくないかなー。
>ちなみに新卒1年目での退職理由については、コチラの記事も参考にしてください▼
1. 学校の教育理念、教育方針
私立学校は、各学校で独自の教育理念や教育方針を掲げ、それに基づいて日々の教育活動を行っています。
例えば一例としてこんな感じで、それぞれの学校が教育理念や方針を持っています。
- 学力を上げて、難関私立大学へ合格させる
- 国際交流を通して、国際的な視野を持つ人材を育成する
- 生徒ひとり一人に寄り添い、個性を伸ばしていく
この教育理念に沿って、どんな生徒を育成したいか、どんな授業を行うか、どんな学校行事をやるか‥などが決まってきますので、教育理念が学校のすべての根幹だと言っても過言ではありません。
自分が教員として働くときは、学校の教育理念と自分の教育に対する価値観が一致している(少なくとも共感できる部分がある)ことが一番大切です。
それは、自分の考え方と合わない環境で時間を過ごすことはストレス以外の何物でもないから。
長く安心して、自分が主体的に取り組める職場環境を探すためには、自分の価値観と合う教育理念を持っている学校を見つけることがとても大切です。
採用試験や面接では、学校の教育理念との共感を最も重視しています。それは価値観が違うと学校にとっても教員にとってもいいことがないから。長く安心して働いてもらうためにも、教育観が同じ人に来てほしいと思っています。
>自分の価値観を見つけるための【自己分析】については、コチラの記事も参考にしてください▼
2. 学校の校風や文化
次に確認しておいてほしい点として、学校の校風や文化です。
私立学校は学校創立から長い歴史があったり、理事長や校長の考えで学校運営がなされている部分もあり、それが日常の学校の雰囲気を作っていることがあります。
例えば
- 学則やルールが厳しく、生徒にもピリッとした雰囲気がある
→規則が絶対である、というルールの中で日々過ごしていくことがストレスになる場合も(生徒対応も、教員との関わりにも影響がある) - 歴史や伝統を重んじるため、新しいことに挑戦することに対しては腰が重い(取り入れるまでに時間がかかる)
→デジタル機器やICT教材などの導入が進まないケースも。また若手教員の意見は大事にされない傾向があるかも。 - 社会とのつながりを大事にするため、キャリア教育やインターンシップ、地域活動などに対して積極的に行っており、職員室にも地域の方が多く出入りしている
→教員以外の人との関わりができ、職員室がアットホームな雰囲気である可能性も。
といったように、学校それぞれの文化や雰囲気も、その中で毎日仕事をしていく上では非常に大切なポイントです。
教育理念に共感しても、そこで働く人や生徒の雰囲気が自分と合わない‥というのもストレスになります。自分がそこで働くイメージの湧く学校、いらないストレスを抱えなくても良い環境を探せるといいですね!
3. 生徒の学力や進学実績、卒業後の進路
3つ目に確認しておきたいことは、その学校に通ってきている生徒の学力や進学実績、卒業後の進路選択です。
私立学校では、生徒たちも入学するときに学校の教育理念を確認している(少なくとも保護者はしている)ので、特に進学校では、公立学校よりも似た学力層の生徒が集まってくることが多いです。
生徒たちの学力や進学実績を確認すると、例えば
- 高い学力の生徒や難関校の合格者が多い
→授業でも高いレベルの学力が求められたり、補習などで専門的な知識レベルが求められる可能性がある - 学力はあまり高くない、卒業後に就職する生徒も多い
→授業ではあまり高いレベルの学力は求められない、キャリア教育や進路ガイダンスなどの授業をすることも多い
といった感じで、生徒の学力に応じて教員としても求められることが変わってきます。
特に高い学力レベルが求められる学校では、自分がそれに対応できるかはしっかりと見極めましょう!
一般的な大学進学に必要な学力で大丈夫な学校もあれば、それ以上の高いレベルの学力を求められる学校もあります。学力の高い学校では学習塾や予備校とも比べられることも多いので、イチ教員として、メンタル的にもしんどそうだな‥と正直思います。
4. 教育環境、学校設備
教員として働く上でとても重要な、教育環境や学校設備についても確認をしておきましょう。
私立学校は公立学校と比べて、教育設備が充実していることも多く、例えば
- 電子黒板やプロジェクター
- デジタル教科書、ICT教材
- スポーツ施設(体育館、プール)
- 図書室や自習スペース
- 音楽ホールやアートギャラリー
- 専門の実験施設、調理スペース
- 留学生のための寮、交流オフィス
などといった、施設があることもあります。
教員としてどんな授業がしたいか、どの程度施設を活用して授業に工夫を加えられるかなどを、学校が持つ施設を確認しながらイメージできるといいですね。
教育設備が充実しているのは、私立学校の特徴の1つです。教員のメインの仕事が「授業」なので、その授業を行う環境についてはしっかりと情報収集しましょう!
5. 1年目のメインの担当業務内容
学校情報を見るときには、自分がその学校でどんな業務をメインで担うのかも確認します。
特に1年目は、教員として働くことも初めてなので、できるだけ自分が働く様子をイメージできるようにしておくことが大切です。
例えば、
- 授業はどんな感じでやるのか、準備時間やフィードバックなどはあるか
- 生徒対応や保護者対応はどんな感じでやるのか
- 指導記録簿をつけたり、テストの採点などの事務作業はどれくらいあるのか
- 部活動、委員会活動、進路担当など、担当として割り振られるのはどれくらいか
- 入学希望者の対応などの営業的な業務はどれくらい入ってくるのか
といった部分について、確認をしておくことがオススメです。
「授業だけやると思っていた‥!」など、入職してから初めて知った‥ということが多いと学校に対しても不信感ですし、何より自分がついていくのが大変です。
学校を選ぶときや、採用選考中に詳細を必ず確認するようにしてくださいね。
面接時に「こんなこと聞いていいのかな‥?」と躊躇してしまう方もいらっしゃると思いますが、具体的に業務内容の質問をしてくる方は好印象です。実際に自分が働くイメージをしっかり持とうとしている、前向きな姿勢がある、と判断されます。
6. 勤務条件や福利厚生
ここは誰もが気になるところではないでしょうか。
私立学校では、勤務条件や福利厚生は各学校が決めることができるので、本当に学校によってさまざまです。
自分自身の理想の働き方に直結するところでもあるので、必ず詳細を確認しましょう。
例えば
- 給与、休み(土日祝休めるのか)、有給制度、各種手当
- 定時は何時か、残業はどれくらいあるのか、残業代は支給されるか
- 評価制度と査定(評価されて給与などの待遇が決まること)の回数やタイミング、ボーナス支給
などを確認します。
また、求人票に載っている情報と実際に働いている人の様子が異なるなんてこともけっこうあります(例えば、残業月に10時間程度と書かれているのに、月30時間とかやっている先生もいる‥とか)。
できれば求人情報を鵜呑みにするのではなく、実際に今働いている先輩教員などから話が聞ける場があるといいです。
私立学校の給与やボーナス、福利厚生などは、学校の経営状況によっても左右されます。公立学校の公務員とは大きく異なる部分ですので、必ず人事担当に確認しましょう!
7. 新卒教員に対する教育体制とサポート体制
新卒教員の受け入れに関する教育体制についても、各学校によって異なります。
新卒1年目はとにかく初めてのことが多いので、とても不安。
その不安な時期に、教育体制やサポート体制が充実しているというのは、安心材料の1つになりますね!
人材育成を手厚くやっている学校では、勤続年数や時期に合わせた研修が実施されていることが多いです。
例えば
- 内定者研修‥入職前の研修
- 新任者研修‥新卒1年目の研修
- 中堅研修‥勤続3~5年目の教員向けの研修
- リーダー/責任者研修‥責任者クラスに向けた研修
を行っているところもあり、学校内だけで研修するだけでなく、外部講師を招いて質の高い研修をやっているところもあります。
また、サポート体制としては【メンター制度】のように、常に自分の業務をサポートしてくれる、相談相手になってくれる先輩がつくといった制度を設けている学校もあります。
研修制度が整っている学校は、教員の育成に前向きな姿勢を持っていて、安心できます。
ただ「研修」と名前がついているだけで、実は現場で先輩から教えてもらうだけだった‥ということもありますので、先輩教員に「去年はどうでしたか?」と聞いてみるのがオススメです!
8. キャリアプラン
その学校で働き続けることで、どんなスキルを身につけることができ、どんなキャリアプランを描けるかも、働く学校を選ぶ上でとても重要な要素です。
私が勤務していた学校では、
- 教務担当として経験を積んで、学年主任やチームの責任者になる
- 営業担当として経験を積んで、生徒募集や入試担当者として活躍する
- 学校運営に関わる仕事にも携わり、教員以外の経験も積む
などのキャリアプランがありました。
同じ学校で働き続けることを前提として考えたときに、毎年毎年同じ仕事内容では成長もありませんし、おもしろくないと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
3~5年後、自分がどんなふうに働いているか、どんなふうに働く選択肢があるのかを確認し、将来性を見て学校を選ぶというのも大切です。
学校教員と一言で言っても、さまざまな役割分担で学校運営がなされています。自分が将来どんな先生になりたいのか、どんな形で教育に携わりたいのかの理想を考え、その理想が実現させられそうな学校を選べるといいですね。
9. 学校行事
最後に、学校行事についても情報収集しておくと良いことをお伝えします。
各学校に教育理念があるように、学校行事やイベントにもその学校の特色がでます。
自分が教員としてどのように関わっていく可能性があるかは、イメージを持っておくのがいいですね。
- 学校の年間行事スケジュール
→1年間のだいたいのスケジュールが把握できます。繁忙期なども事前に確認できると良いです! - ボランティアや清掃活動、職場見学などの地域との関わり
→地域の方との連携やコミュニケーションの量を事前に知っておきましょう。 - 学校祭や文化交流会など他の学校との関わり
→他の学校と関わる機会があるということは、他の学校の先生と関わる機会もあるということです。視野が広がるなどメリットも多いので、こういうのはあると良いとです。
学校祭や文化祭などのイベントでも、学校の規模によってはかなり大がかりになるものもあります。教員としてそれらに携わるとなると、かなりの労力を持っていかれる可能性があります。と言いつつ、文化祭を楽しみにしている先生もたくさんいらっしゃいます!
まとめ
今回は、私立教員をめざしている大学生のみなさん向けに、自分の理想の学校を選ぶためのチェックポイント9選をご紹介しました。
改めて、9つのポイントは以下の通り。
- 学校の教育理念、教育方針
- 学校の校風や文化
- 生徒の学力や進学実績、卒業後の進路
- 教育環境、学校設備
- 1年目のメインの担当業務内容
- 勤務条件や福利厚生
- 新卒教員に対する教育体制とサポート体制
- キャリアプラン
- 学校行事
チェックポイントが多くて大変‥と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、私立学校の教員になることの大きなメリットの1つが「自分で働く学校を選べること」です。
自分の理想の教員像をしっかりと描いた上で、それが実現できそうな学校、また残業などが少なく労働条件も悪くない学校を選ぶことが教員としてやりがいのある生活を送れるコツかなと思います!
気になる学校については、妥協せず、1つずつ丁寧に情報を収集していくことをオススメします。
充実した教員ライフを実現させるために、今回の記事を参考にしていただけたら嬉しいです。
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