私立学校の先生になりたいと思って就活してるけど、自己PRってどうやってやったらいいの?
自分にはアピールするところなんて何もないし‥自己PRとか言われてもどうしていいか分からない。採用試験に合格しやすい作り方とかあったら教えてほしい!
私立学校の教員をめざしている大学生のみなさん、こんなお悩みをお持ちではないですか?
採用試験において、自己PRは第一印象作りでとっても大切な役割を持っているのですが「自分には何も人より得意なことなんてないし‥」とどうやって自己PRをしていいか悩んでしまう方がたくさんいらっしゃいます。
逆に自己PRが上手な方は、人事としてもその方がどういう人なのかが分かりやすいので、学校で働いてもらうイメージを持ちやすく、内定につながりやすいこともあるんです!
今回は「書類選考&採用面接で使える!自己PR作成ガイド」ということで、新卒で教員をめざすみなさんに効果的な自己PRを作ってもらえるように、学校人事担当の経験を活かして解説していきます!
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
この記事を読むと分かること
- 教員採用に近づく、効果的な自己PRの作り方
- 人事担当者が自己PRに何を求めているのか、何を見ているのか
- 自信がなくて自己PRが作れない‥という方ができること
ぜひ最後まで読んでいただいて、自分のことを最大限アピールする方法を知り、教員採用に活かしていただければ幸いです!
自己PRの役割と重要性
まずはじめに、そもそも自己PRとは?ということからお伝えします。
分かりやすく言うと、自己PRとは、採用側が求めている人物像に対して「自分はこんなことができるので、あなたたちが求めている人としてふさわしいですよ!」と伝えること。
私立学校での教員採用で、採用担当者が重視していることは、
- 応募者が学校の教育理念に対して共感しているか(応募者の教育観)
- 応募者がどんな教員になりたいと思っているのか
- 他の学校ではなく、この学校を選ぶ理由は何なのか
ですので、自己PRにこういった情報を入れることで、自分がその学校で働くにふさわしい人ですよということを伝えることは、とても効果的です。
自分のことをただアピールするだけではなく、学校にとって自分を採用するメリットの部分をしっかりと伝えることを意識することが大切です!
採用担当は(直接的には言いませんが)「応募者がどんなスキルを持っていて、どんなふうに学校に貢献してくれるのか」も見ています。「自分は学校にとって有益な人ですよ!」と知ってもらえるように、自己PRを作成しましょう!
自己PRの構文とサンプル
自己PRの基本構文
自己PRは次の4つの要素で構成されます。
- 簡単な自己紹介
まずは自分の背景を簡単に伝えます。大学で専攻してきたことや、教育への興味が芽生えたキッカケなどを短く説明します。 - 自分の強みや特徴
自分の長所や強みを具体的に伝えます。志望する学校が求める人物像を意識した内容だとよりよいです。 - 具体的なエピソード
自分の長所や強みについて補足する具体的なエピソードを簡潔に伝えます。可能であれば教育に関することでのエピソードがあると説得力が増しますが、別のことでも大丈夫です。 - 志望する学校にどうやって貢献することができるか
最後に自分の強みや経験が、どのように学校や生徒に貢献できるかを伝えます。実際に入職した後のイメージを採用担当に持ってもらいましょう。
この構成を意識して、自己PRをつくっていきます。
その前にいくつかサンプルをご覧ください。
教員採用で使える自己PRのサンプル
先ほどご紹介した構成にそって書かれている自己PRを、サンプルとして3つご紹介します。
「こんな風に書いたらいいのか」「自分ならこうやって書けるかな」と考えながら、ぜひ読んでみてください。
【サンプル1:生徒に寄り添う力】
私は〇〇大学で教職課程に取り組んでおります。まだまだ未経験のことも多いですが、生徒の成長を間近で見られることがとても大きなやりがいだと感じています。私の強みは、生徒ひとり一人に寄り添う力です。家庭教師のアルバイトをしており、学力も性格も得意不得意も異なる生徒に対して、個別のニーズに応じた指導ができるように工夫してきました。特に、学力が伸び悩んでいる生徒に対しては知識を教えるだけでなく、学習の面白さに気づくキッカケを与えて自ら学習に取り組む姿勢を引き出すことに力を注ぎました。その生徒も以前よりも成績が安定して伸びてきています。
御校の「生徒の個性に寄り添う教育を」という教育理念に共感し、私自身も生徒一人ひとりの個性を活かせる教育活動に貢献したいと強く思っています。アルバイトで取り組んだ、一人ひとりの生徒に向かい合い、個々のペースに合わせた教育を行う姿勢は、御校での教育活動にも活かせると考えています。
【サンプル2:コミュニケーション力とチームワーク】
私は〇〇大学で国際社会について学んでいます。中学校時代の先生にあこがれ、生徒の横のつながりや協働活動を通して学ぶことを大切にする教員になりたいと思っています。私の強みはコミュニケーション力とチームワークです。大学のゼミでは、外国人留学生も交えた複数のメンバーでプロジェクトを進めており、多様な価値観から意見が分かれる場面でも、それぞれの立場や考えを尊重しながら調整役として意見をまとめ、プロジェクトを進められるようになったと感じています。
御校の「協働力を重視する」教育方針に共感し、教師としても生徒や同僚との円滑なコミュニケーションを大切にしながら、チームで協力して成果を出していく環境を作り上げたいと考えています。学生時代の経験を活かし生徒や同僚との人間関係を大切にしながら、御校での教育活動に貢献してまいります。
【サンプル3:趣味を活かしたクリエイティブな指導力】
私は〇〇大学で教職課程を学んでいます。日本語での表現方法がおもしろいと感じ、そこから国語教員を目指すようになりました。私の趣味は絵を描くことです。小学生のころから美術に興味を持ち、現在もデジタルイラストを描く活動を続けており、この趣味を通じて想像力や表現力を学んできました。大学では友人に頼まれて講義ノートをイラストや図解で視覚的に分かりやすくまとめ直したことで、友人から「理解しやすくなった」と好評でした。その経験から、クリエイティブな活動はコミュニケーションツールとしても役立てられることを実感しました。
御校の「創造力をはぐくむ教育」に深く共感し、私が趣味で培った創造できる表現力を活かして、生徒がより興味を持って学べる教育を行いたいと思っています。また生徒に対しても創造力を活かして活躍できることを自ら示し、御校での教育活動に貢献できると考えます。
アルバイト、学校生活、趣味を通じて自己PRを作るサンプルをご紹介しました。
どんなことでも教育に関係するもの、また学校が求める人物像に関連付けられるものであれば、自己PRとして伝えることができることが分かるかなと思います!
そうは言うけど、私の強みとか活かせるスキルって‥なんかあるのかな。不安しかないけど。
今は分からなくても大丈夫です!それでは実際に一緒に作ってみましょう!
自己PRを作るための5ステップ
それでは、実際にご自身の自己PRを作ってみましょう!
次の5ステップで解説していきます。
- 学校が求める人物像のリサーチ
- 自己分析を行う
- 他者からフィードバックをもらう
- 基本構成に沿って自己PRを書く
- 見直しと修正をする
1つずつ、具体的に解説していきますね。
1. 学校が求める人物像のリサーチ
まずはじめに、各学校が掲げる教育理念や学校文化、また教員に求める姿勢などの情報収集を行います。
繰り返しになりますが、自己PRは「あなたの学校で求めている人に、私はふさわしいですよ」と伝えるものなので、まずは「あなたの学校で求めている人」を知らないと、自分のアピール方法も分からないですね。
- 学校の公式サイト、パンフレット
- 学校のSNSや口コミ
- 募集要項や求人票
など、学校情報を収集する中で、学校が教員に求める人物像に関する情報もしっかりと見ておきましょう。
>働く学校の情報収集については、コチラの記事も参考にしてください▼
2. 自己分析を行う
次に、自分の強みや特徴、どんな教員を目指すのかなどを考えるために自己分析を行います。
これまでの学生生活やボランティア、アルバイトなどの経験を通して、自分のことを振り返りましょう。
- なぜ先生になりたいと思ったのか
- 自分はどんな教育をしたいと思っているのか
- 他の人は大変そうだけど、自分は難なくできることはどんなことか(他の人よりもうまくできること)
- 他の人にどんなことを褒められた経験があるか
- 課題に対して工夫して解決したことはあるか、どんなふうに取り組んだか
- 教員として働くときに活かせるスキルはどんなものがあるか
という質問に対して、自分の考えを深めながら考えて答えてみましょう。
そして、自分がどんな特徴のある人間なのか、どんな強みやスキルを持っているのか、どんなことを大切にして教員になりたいと思っているのか、どんな職場環境を望んでいるのか、を明確に言語化します。
この自己分析がしっかりとできていると、自己PRの中身にも説得力が増しますよ!
>自己分析の詳しいやり方は、コチラの記事も参考にしてください▼
3. 他者からフィードバックをもらう
自己分析してみたけど‥何も強みも特技も出てこない‥。やっぱり私は先生に向いてないんじゃないか‥と不安になってきたよ。
そう思っている方に特に注力してやっていただきたいのが「他者からのフィードバックをもらう」です。
自分が考えて分からないことは、人に聞いてみましょう!ということなのですが、自分という人間にどんな強みや特徴があるかを、周りの人に客観的に見てもらいます。
例えば、家族や両親、友人、あるいは学生時代の先生などにお願いして、
- 自分ってどんなことを大切にしているように見える?その理由は?
- 自分の長所と短所は?
- 自分が先生になったら、どんな先生になってそうなイメージ?何でそう思う?
- 私のことを3つ褒めて、とお願いしたら、どんなポイントを褒めてくれる?
など、人から見た自分の価値観や長所(短所も)、特徴や人から褒められるポイントを教えてもらいます。
一言「就活に活かすために教えて」と付け加えておくと、相手も真面目に答えてくれますよ。
自分では当たり前だと思っていることが、実は他の人にとっては当たり前ではないことだったり、無意識にやっていることを教えてもらえると、新たな発見につながりますね!
友だちに聞いてみたら「あなたは頭の回転が速くて、今目の前で起こっていることに対して全力で動く人」って言われた。悪く言えば計画性がないってことかもだけど(笑)、よく言えば現状を把握して臨機応変に対応できるってことかな!
人からフィードバックをもらうことで、自分一人でやった自己分析では出てこない一面が見えるようになります。一人でやる自己分析ももちろん大切ですが、自己理解が深まるのでフィードバックはぜひもらいましょう!
4. 基本構成に沿って自己PRを書く
自己PRをまとめられる情報が集まったら、いよいよ自己PRを書いていきます!
基本構成は、以下の形でしたね。
- 簡単な自己紹介
まずは自分の背景を簡単に伝えます。大学で専攻してきたことや、教育への興味が芽生えたキッカケなどを短く説明します。 - 自分の強みや特徴
自分の長所や強みを具体的に伝えます。志望する学校が求める人物像を意識した内容だとよりよいです。 - 具体的なエピソード
自分の長所や強みについて補足する具体的なエピソードを簡潔に伝えます。可能であれば教育に関することでのエピソードがあると説得力が増しますが、別のことでも大丈夫です。 - 志望する学校にどうやって貢献することができるか
最後に自分の強みや経験が、どのように学校や生徒に貢献できるかを伝えます。実際に入職した後のイメージを採用担当に持ってもらいましょう。
例えば、学校の教育理念が「生徒の個性を尊重し、一人ひとりに寄り添った教育」で、求める人物像が「生徒の個別のニーズを把握し、寄り添って対応できる人」だとします。
そして、自己分析を通して「人と比べなくて良いと教えてくれた先生に憧れを持っていて、自分もそのメッセージを伝えられる教員になりたい」と思っていて、「根気強く、粘り強く一つのことに取り組むことができる」という特徴があることが分かりました、とします。
それを自己PRに落とし込んでいくと
- 自己紹介【学んでいること、教員を目指したキッカケ】
「〇〇大学で英語教育について学んでいます。学生時代の先生に”人と比べなくていいんだよ”と教えてもらったことがきっかけで、私もそんなメッセージを伝えられる教員をめざすようになりました。」 - 自分の強みや特徴【自己分析から出てきた、求める人物像に合う自分の特徴】
「私は粘り強く一つのことに取り組むことができる性格を持っています。」 - 具体的なエピソード【自分の特徴の説明、求める人物像を意識して書く】
「妹がいるのですが、逆上がりがしたいと言えば練習に付き合い、縄跳びがしたいと言えば一緒に練習をしていました。毎日練習を繰り返し、妹がもう飽きたと言ってきても、逆上がりと縄跳びができるようになるまで、私が諦めずに一緒に取り組ませたことがあります。妹の「できた!」というときの笑顔は今でも忘れませんし、私自身、相手の目標が達成できたときの充実感はとても大きなものでした。」 - 志望する学校にどうやって貢献することができるか【教育理念に対して、自分の強みと特徴がどう役に立つかを書く】
「御校の”生徒の個性を尊重し、一人ひとりに寄り添った教育”という理念に深く共感しています。私の「粘り強く一つのことに取り組むことができる」という性格を活かして生徒たちと日々関わることで、生徒の個性に寄り添いながらも、一歩ずつ前に向かって成長することをサポートできると考えております。また”人と比べなくても良い”というメッセージを伝え、個性を大切にすることの大切さも生徒に示しながら、御校の教育活動に貢献してまいります。
という感じになります。
最初は無理やり感があるかもしれませんが、自分が思っていることや考えていることを素直に表現することをオススメします。
ウソで書いていると、人事担当から「あ‥これウソっぽいかも」と面接時にバレますので(笑)、自分が本当に思っていることを正直に伝え、自己PRにする方が説得力が増します!
言葉の使い方で表現や伝わり方が変わります。しっくりこない?と思うときは、自己PRで出てきた自分の特徴を、別の言葉で言い換えられないかを考えてみてもいいですね!
5. 見直しと修正をする
自己PRが書けたら、見直しと修正を行います。
注意するポイントは以下の通り。
- 学校のニーズにふさわしいことが伝わるか
- エピソードが具体的か
- 初対面の人が読んで、分からない単語はないか(抽象的な表現は避ける)
- 情報量に過不足はないか(少なすぎて分からない、不必要に多いということはないか)
- 誤字脱字はないか
実際に、家族や友人に読んでコメントをもらうのもオススメです。
何度も繰り返し見直して、自分のことを最大限アピールできる文に仕上げていきましょう!
「それでも書けない」という方のために
ここまで、自己PRの具体的な書き方をご紹介してきました。
しかし「やっぱり私にはアピールできるようなことなんてないし‥」とか「新卒でまだ働いたこともないのに、学校に貢献するとか言っちゃって大丈夫?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方のために、よくある不安や質問をまとめましたので、自信がない方はぜひこちらも読んでくださいね!
自分にはアピールできるような長所がない
「私は自信がないし‥」とか「一応長所って書いてみたけど‥これってホントに長所?」って思う方もいらっしゃいますよね。でも大丈夫です!
- 家族や友人に、自分の長所や特徴を聞く
自分では普通だと思っていることが普通じゃないことがわかる - 日常の中で自分の特徴を見直す
朝のモーニングルーティン、大学の授業中、サークルでの役割、友人との人間関係、アルバイトでの出来事、家族との関係など、何気ない日常の中で自分が無意識に行っていることが、スキルや経験として活かせることがあります - 自分の性格や特徴をポジティブ変換する
例えば「自信がない」だったら、言い換えれば「慎重に行動する、しっかり準備計画する、想定外のトラブルも事前に考えることができる」など
特に最後の「ポジティブ変換する」は効果大です!
誰しもが持っている自分の特徴を、ポジティブな表現で言い換えるだけで、アピールできる内容になりますよ。
実績とか経験ってどうするの?新卒だしそんなのないよ‥
具体的なエピソードに実績や経験を入れた方がいいのかな?と考えて、不安になる方もいらっしゃいますが、そんな大そうなものは必要ありません。
そもそも、新卒の採用は即戦力としては期待しておらず、今後のポテンシャルや意欲の部分を評価して内定を出します。
ですので、自分の考えや今後どうなっていきたいかをしっかりと伝えることが大切です。
合格しやすい人の自己PRってどんなの?
最後に、私が8年の人事経験の中で見てきた自己PRで、魅力的だなと感じたものをご紹介します。
- 応募先の学校とのマッチングができている(教育理念を理解して、自分がそこに合うと自分で思っている)
- 求める人物像に近いことが書かれていながらも、個人の考えや個性的な視点が入っている
- 一見些細なこと(趣味の読書とか旅行とか)でも、自分なりの考えを持って取り組んでいることがある
- 単純に面白い経験やエピソードを持っている(農園で住み込みアルバイトとか、パソコンを分解してまた組み立てるとか)
- 失敗談から、学んだことや改善したことがエピソードとして書かれている
繰り返しですが、新卒採用は「今後の活躍(可能性やポテンシャル)に期待して、一緒に働きたいと思う方」を採用します。ですので、人に話せるような大きな成功体験がない‥という方でも今の自分を素直に振り返り、今後どんな先生になっていきたいかを話せれば、まったく問題ありません。安心して自己PRしましょう!
まとめ
今回は、新卒で私立教員をめざして就活中のみなさんへ、書類選考&採用面接で使える自己PRの作り方をご説明してきました。
自己PRの作り方5ステップは、こちらでしたね!
- 学校が求める人物像のリサーチ
- 自己分析を行う
- 他者からフィードバックをもらう
- 基本構成に沿って自己PRを書く
- 見直しと修正をする
また、自分にはアピールできることがなくてどうしよう‥と思う方でも大丈夫です!ということをお伝えしてきました。
自分の特徴をポジティブ変換して強みとし、そして学校のニーズにどう活かせるかを具体的に伝えることで、魅力的に伝わる自己PRとなります。
ぜひ今回の記事を参考に自己PRを作り、自信を持って採用試験に臨んでくださいね。
無理しない、充実した教員ライフを実現するために、参考にしていただけると幸いです!
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