私立学校の教員になりたくて、就職活動中。履歴書の準備をしてるけど「志望動機」ってどうやって書いたらいいの?
志望動機を書いてたら、自己PRと同じ内容になってしまった‥。そもそも何が違うの?志望動機って何?
私立学校の教員をめざして就職活動中のみなさん、こんなお悩みをお持ちではないですか?
これまで私立学校を志望する100名以上の方と関わらせていただきましたが「本校を志望する理由は何ですか?」という質問に、明確に自信を持って答えられる方は意外に少ない印象です。
そこで今回は、私立学校の人事担当経験を活かして、新卒で私立学校教員を目指している大学生のみなさん向けに「志望動機の書き方」を具体的に分かりやすく解説していきます!
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
この記事を読んだら分かること
- 意外と知らない?! 志望動機と自己PRの違い
- 教員採用で効果的な志望動機の書き方
- 志望動機で人事担当が見ているポイント
ぜひ最後まで読んでいただいて、志望動機を作ってみてくださいね!理想の教員ライフを実現する参考にしてもらえると嬉しいです。
志望動機が就活で大事な理由【なぜその学校なのかを伝える】
そもそも志望動機とはどんなものでしょうか?
志望動機とは、ある学校の求人に応募する際に「なぜその学校を選んだのか」「そこで教員としてどんなふうに働きたいと思っているのか」を採用担当に伝えるためのものです。
数多くある私立学校の中から、なぜその学校なのか、他の学校ではダメなのかをしっかりと言語化し、採用担当に伝えることで、内定をもらえる可能性が高くなるので、就職活動においてはとても大事なものです。
志望動機と自己PRの違い
志望動機と似ているものに「自己PR」があります。
同じ履歴書の中に別々で欄があることも多く「・・何書くの?」と困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
志望動機と自己PRは以下の通り、まったく別のものです。
【志望動機】‥なぜこの学校を選んだのか、この学校でどんなふうに働きたいと思っているのかという夢や願望を伝え、志望度合い(どれくらいこの学校に入りたいと思っているのか)を示すもの
*未来、将来のことを中心に組み立てる
【自己PR】‥自分の強みやスキル、特徴を伝え、自分を採用することのメリットを示すもの
*過去や今までのことを中心に組み立てる
例えば「この学校の〇〇という教育理念に非常に共感し、合格をいただけた暁には、私もこの学校で生徒にとってこんな先生として働きたいと思っています」は志望動機、
「私はこんな性格でこんな特徴・スキルを持っています、御校の〇〇という教育スタイルの中で、そのスキルを活かしてこんな形で生徒と関わり、貢献できると考えています」は自己PRです。
何となく違いが分かったような。志望動機は学校に対する思いを全面に出して、自己PRは自分の特徴やスキルを基に論理的に伝えていくイメージかな。
人事が志望動機で見ていること
人事が志望動機で見ていること、それは「なぜうちの学校を選んだのか」です。
数多くの私立学校がある中で、なぜ他の学校ではなく、うちの学校なのか、を把握し、応募者の本気度を見ています。
学校人事も応募者同様に、他の私立学校の教育理念や採用状況などをリサーチしているので、特に同じような教育理念の学校や、近い立地の学校は、それぞれの学校の特徴は頭に入っています。
採用担当や面接官が納得できるように「絶対にこの学校じゃないといけない理由」を明確に志望動機に入れましょう!
志望動機大事ですよ!と言いつつ、実は「自己PR」を重視することも多いです。それは新卒採用は今後の可能性を見込んで行うものだから。どんな人物なのか、どんなスキルを持っているのか、どんな思いで教員を目指しているのかなどの「価値観」を見極めたいと思っています。
志望動機の構文とサンプル
志望動機の構文
効果的に「なぜこの学校を選んだのか」を伝えるためにも、志望動機は以下の3つのポイントを盛り込むことが大切です。
- 学校に興味を持った理由、他の学校ではなくその学校で働きたい理由
学校の教育理念や特徴、環境について、なぜその学校に惹かれたのかを具体的に説明します。「有名だから」などの浅いものではなく、自分自身の経験や考えに基づいた理由を書きます。 - 自分の強みやスキル、考え方(自己PRと一貫性を持たせる)
自己PRでアピールした自分のスキルや特徴が、学校のニーズにどう合っているかを書きます。学校が求める人物像と自分の強みをつなげて説明すると、説得力が増します。 - その学校でどんな仕事がしたいのか
学校のカリキュラムや教育方針に対して、どう自分が取り組みたいと思っているかを具体的に書きます。教員としての理想の自分を思い描き、実際にその学校で働くイメージを伝えることが大切。
この内容で志望動機を作っていきます。
ちなみに、2の自分の強みやスキル、考え方(自己PRと一貫性を持たせる)については、自己PRとの違いを意識しながらも、全く別のことを書くと「え?さっきと違うこと言ってるけど?」と混乱を招いてしまいます。
自分という人は同じ人物なので、自己PRで出した自分の強みやスキルと一貫性を持たせつつ、志望動機では「この学校を選んだ理由」に重点を置いてまとめるようにしましょう。
教員採用で使える志望動機サンプル
実際に志望動機を作る前に、具体的なサンプルをご紹介します。
自分だったらこんな感じで書くかな?というのを想像しながら読んでみてくださいね。
【サンプル1:教育理念に共感した場合】
私は御校の「生徒一人ひとりの個性を尊重し、自己実現をサポートする」という教育理念に深く共感しました。大学時代の教育に関するボランティア活動を通じて生徒の成長を見守るやりがいを学び、私自身も個別指導に強い関心を持つようになりました。私のコミュニケーション力と生徒のニーズに応じた指導法を活かして、御校の生徒の成長に寄り添える、そんな教員になりたいと思っています。
【サンプル2:学校の教育プログラムに惹かれた場合】
御校の特徴的な探求学習プログラムに非常に魅力を感じています。私は大学時代の研究活動を通して、自分で問題を発見し、その解決に取り組む大切さと楽しさを実感しました。生徒が自分の興味を深め主体的に学びを深める探求学習の楽しさを、私も教員として一緒に体験し、生徒の学びをサポートしていきたいと考えています。
【サンプル3:自分の理想の教員像と照らし合わせる場合】
私の理想の教員像は、生徒の多様なニーズに対応できる柔軟な教員になることです。そのために大学時代には心理学を専攻しました。御校には「生徒の個性を伸ばす」という教育理念の下、さまざまな価値観を持つ生徒が在籍していますので、そこで生徒一人ひとりに合った対応を模索しながら、生徒に寄り添える教育を提供したいと考えています。将来的には、生徒のメンタルヘルスケアにも貢献できる教員を目指したいと考えています。
教育理念、教育プログラム、自分の理想の教員像と照らし合わせるサンプルをご紹介しました。
繰り返しになりますが、
- 学校に興味を持った理由、その学校で働きたい理由
- 自分の強みやスキル、考え方(自己PRと一貫性を持たせる)
- その学校でどんな仕事がしたいのか
の情報を組み合わせて、志望動機を作っていくことが大切です!
志望動機を聞いて、採用担当が「そういう考えを持っているなら、うちの学校で働くのがいいよね」と感じれば、合格がグッと近づきます。学校の特徴をリサーチしておくことが大切なのは言うまでもないですね!
志望動機を作る4つのステップ
それでは、実際に志望動機を作っていきましょう!
次の4ステップで作っていきます。
- 学校のリサーチをする
- 自己分析をして自分の理想の教員、自分の強みを明確にする
- 基本の構文に合わせて、志望動機を書く
- 見直しと修正をする
1つずつ、具体的に説明していきますね!
1. 学校のリサーチをする
まずは魅力を感じる学校を徹底的にリサーチします。
- 学校の教育理念
- 特徴的な教育カリキュラム
- 通っている生徒の特徴
- 求められる教員像
これらの特徴を調べ、自分の考えと合うところや魅力に感じる部分を見つけます。
「この学校で働きたい!」と思えるポイントがあれば、第一ステップは完了です!
>学校のリサーチ方法・学校選びのコツについては、コチラの記事も参考にしてください▼
2. 自己分析をして自分の理想の教員、自分の強みを明確にする
次に自己分析を通して、自分のことを考えます。
- 自分は将来的にどんな教員になりたいと思っているのか
- 自分の強みや特徴はどんなものがあるのか
- 自分が持っているスキルはどうやって教員として活かせるのか
- 自分はどんな学校で働きたいと思っているのか(職場の雰囲気、生徒の特徴)
自分の教員としての価値観や、理想の将来像、強みを明確にしましょう。
ステップ1の「この学校で働きたい!」と感じた背景にも、必ず自分自身の価値観や考え方が反映されています。
「この学校で働きたいと思った理由は、自分の理想の教員像が〇〇だからか!」と自分で言語化できれば、ステップ2はOKです!
ここでも自己分析が大事になってくるんだね。自分の価値観や理想を知って、それが実現できそうな学校を選べると、安心して楽しく働けるってことかな!
>自己分析の詳細については、コチラの記事も参考にしてください▼
3. 基本の構文に合わせて、志望動機を書く
学校の魅力的な部分と、自分の特徴や理想が分かったら、ようやくここから志望動機を書いていきます!
志望動機に含めるポイントは、以下の3つでしたね。
- 学校に興味を持った理由、その学校で働きたい理由
- 自分の強みやスキル、考え方(自己PRと一貫性を持たせる)
- その学校でどんな仕事がしたいのか
例えば、自然体験を通じた教育をしたいと感じている方であれば
- その学校で働きたい理由
→学校の特徴的な教育プログラム「自然体験を通した教育活動」にとても魅力を感じている - 自分の強みやスキル、考え方(自己PRと一貫性を持たせる)
→小さい頃から自然と触れ合って育ってきた、今の都会の子たちは自然の大切さを実感できる機会がない、自然と触れ合うことで感情が揺さぶられるそんな体験をしてほしい。安全管理面も勉強中。 - その学校でどんな仕事がしたいのか
→誰よりも自然のことが好き!と言える自信がある。自然体験活動では率先して生徒の活動をサポートし、少しでも多くの自然と触れ合う機会を作りたい。
こんな感じになるかなと思います。
それを志望動機としてまとめると
「私は御校の”自然体験を通した教育活動”という特徴的な教育プログラムに非常に魅力を感じています。私自身、幼少期から自然と触れ合って育ってきましたが、都市部に出てきて「都会の子どもたちは自然の大切さを実感できる機会がない」と感じていました。教員を目指すにあたり、子どもたちに自然と触れ合うことで感情を揺さぶられる体験をしてほしいと思っており、御校では率先して生徒の自然体験活動をサポートし、すこしでも多くの自然と触れ合う機会を作っていきたいと考えています。」
という感じになります。
ここで少し思い出していただきたいのが、自己PRと志望動機の違いです。
【志望動機】‥なぜこの学校を選んだのか、この学校でどんなふうに働きたいと思っているのかという夢や願望を伝え、志望度合い(どれくらいこの学校に入りたいと思っているのか)を示すもの
*未来、将来のことを中心に組み立てる
【自己PR】‥自分の強みやスキル、特徴を伝え、自分を採用することのメリットを示すもの
*過去や今までのことを中心に組み立てる
上記の自然体験活動の例では、過去のこと(自分は自然と触れ合って育ってきた、など)を入れていますが、これは学校を魅力に感じた理由の補足として書いています。
また、具体的なスキルや強みというよりも、自分の想いや考え、どんなふうに働きたいと思っているのかを中心に書いていることも伝わるかなと思います。
4. 見直しと修正をする
志望動機が書けたら、見直しと修正を行います。
注意するポイントは以下の通り。
- その学校で働きたい理由が書いてあるか(その学校じゃないとダメな理由)
- 自分の特徴を書き、説得力を持たせられているか
- 学校のニーズに合っていることが伝わるか
- 初めての人が読んで、分からない単語はないか(抽象的な表現はないか)
- 誤字脱字、不必要に長い文はないか
実際に書いた志望動機を、家族や友人に読んでもらって、コメントをもらうのもオススメです!
何度も繰り返し見直して、しっかりと自分の想いが伝わる志望動機を仕上げていきましょう。
書面に書くときは特に、簡潔にシンプルにまとめるように意識しましょう!申し訳ないのですが「長いな‥」と思うとそもそも読みたくないのです;
採用担当が気になることがあれば、面接などで質問していきますので、そのときに具体的に教えてもらえれば大丈夫です。
それでも志望動機が書けない‥という方は
書き方は分かったけど、でもやっぱり自信がなくて、志望動機なんて書けそうにない‥。そんな時はどうしたらいいの?
ここまで、私立学校の教員採用に向けて志望動機の書き方をご説明してきました。
が、自分はどんなことを書いたらいいの?とまだ不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
最後に「それでも書けない‥」という方に向けて、よくある不安や質問をまとめましたので、ぜひご覧ください。
自分の経験に自信がない‥
自分の強みやスキルについて振り返るときに「自分は特別な経験をしてこなかった」「人に自慢できるようなことは何もない」と自信が持てないことも多いです。
そんな時は、大きなことは考えずに日常に目を向けて身近なことを考えてみましょう!
- 家族や友人との関わりの中での気づき
- アルバイトでの経験やバイト先の人との関わりでの気づき
- 教育実習での気づき
- 大学の授業やゼミで学んでだことからの気づき
など、普段の生活の中で「人から褒められたこと」や「自分ってすごいかも?」と思ったことを思い出してみましょう。
人事担当は、応募者の大きな成功体験を聞きたいと思っているわけではありません。人に語れる経験がないという方は、失敗からどんなことを学んだか、その後どう改善したか、その経験からどんな気づきを得たか、というところを丁寧に話をするのもオススメです!
どんな教員が理想かが分からない‥
「何となく教員になりたいと思っているけど、何でなりたいかと聞かれるとはっきり分からない‥」という方は、志望動機を書くのが難しいと感じることもあります。
そんなときは、自分自身のことを考える時間を取って(自己分析)、一度深く自分の考えを整理することが大切です。
- なぜ他の仕事ではなく、教員になりたいと思っているのか
(例えば、なぜ塾講師ではなく学校の先生になりたいの?=教員にしかできないと自分が感じること①) - 他の仕事をすると考えたときに、イヤだと思うことはどんなこと?
(塾講師の仕事をすると考えたときに、イヤだと思うことはどんなこと?=教員にしかできないと自分が感じること②) - 過去の先生でどんな先生が良いと思ったか?逆にこんな先生はイヤだと思ったのはどんな先生?
(優しく話を聞いてくれる先生が好きだった、人を見下すような話し方をする先生は嫌いだった=好きだと思った先生が、自分が教員として理想だと思う先生の姿) - 学校を調べる中で、どんな学校が良さそうと感じる?
(難関校合格を目指す進学校ではなく、生徒一人ひとりの個性を伸ばす教育をする学校=それが自分が良いと感じる教育観)
自己分析を繰り返すこと、また実際に教員として働くことについて考えることで、自分の教員としての理想像を作っていきましょう。
ちなみに、働いている中で理想が変わることなんて普通にありますので「今思う自分の理想」でまったく問題ありませんよ!
>教員として働くことのやりがいをコチラの記事にまとめていますので、参考にしてください▼
本当にこの学校でいいの?と迷っている‥
私立学校選びをしながらも、本当にこの学校でいいのかな?と心のどこかで思いながら採用選考を受けていると、志望動機が書けないこともあります。
そんな時は、改めて自分の理想の学校像を明確にしましょう。
- 学校の教育方針は自分の価値観に合っているか?
- 生徒との距離感は自分の理想と合っているか?
- 学校の規模や生徒の人数は自分の理想に近いか?
- 職員の雰囲気は良さそうか?
というところを改めて情報収集して、自分の理想に近い学校かどうかを確認します。
人事としてはもちろん「採用にご応募いただいた方は、内定を出したらうちの学校に入ってもらえる」と思っています。が、選考の途中や内定後でも辞退される方もいらっしゃいますので、「気になる学校」くらいでも情報収集してエントリーしてみるのも良いと思います!
まとめ
今回は新卒で私立学校の教員を目指す方向けに、志望動機の書き方を解説してきました。
志望動機の書き方は、以下の4ステップでしたね!
- 学校のリサーチをする
- 自己分析をして自分の理想の教員、自分の強みを明確にする
- 基本の構文に合わせて、志望動機を書く
- 見直しと修正をする
また、志望動機と自己PRの違いも意識して書くことも大切です。
【志望動機】‥なぜこの学校を選んだのか、この学校でどんなふうに働きたいと思っているのかという夢や願望を伝え、志望度合い(どれくらいこの学校に入りたいと思っているのか)を示すもの
*未来、将来のことを中心に組み立てる
【自己PR】‥自分の強みやスキル、特徴を伝え、自分を採用することのメリットを示すもの
*過去や今までのことを中心に組み立てる
1回でキレイに書ける方なんていませんので、何度も考えて書いてを繰り返して、自分のことを最大限にアピールできる志望動機を準備してくださいね。
無理しない、充実した教員ライフを目指して、少しでも参考になれば嬉しいです!
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