私立の教員になりたいと思って就職活動しているけど、採用面接で不合格が続いて‥どうしたら面接で合格できるのか知りたい!
志望動機とか自己PRとか、書類は何とかうまく書けるんだけど‥面接となると緊張してしまってうまくいかない。なんかいい対策方法ない?
新卒で私立教員をめざして就職活動中の大学生のみなさん、こんなお悩みをお持ちではないですか?
採用面接に苦手意識を持っているせいで、なかなか合格がもらえなくて困っている‥このままでいいのかな?と不安に思っている方は多くいらっしゃいます。
私はこれまで私立学校の人事として8年間採用に携わってきましたが、面接で「あぁ、惜しい!><」と思う方をたくさん見てきました。
そこで今回は、私立学校の採用面接で成功するために、必ず押さえておきたい5つのポイントを学校人事経験を基にお伝えします。
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
このブログを読むと分かること
- 私立学校の面接の流れ
- 面接で合格するために押さえておくべきポイント5つ
- 面接で不合格になる人の特徴
最後まで読んでいただいて、ぜひ自信を持って面接に臨んでもらえるように参考になれば嬉しいです!
私立学校の面接の流れ
まずはじめに、私立学校での採用面接の流れをご紹介します!
私立学校の採用面接は
- 一次面接
- 二次面接(模擬授業や実技)
- 最終面接
の3段階で行われることが多いです(もちろん学校によっては2回とか、1回だけというところもあります)。
一次面接の流れ
一次面接では、人柄やこれまでの経歴、教育に対する考え方などが聞かれることが多いです。
基本的に応募者がその学校の教育方針から大きくずれていないか、を確認する場です。
例えば、こんな質問をされることが多いです!
- 自己紹介をしてください
- この学校を選んだ理由を教えてください(志望動機)
- どんな教員になりたいと思っていますか
- これまでの経験やスキルを教えてください(自己PR)
履歴書にも書いている内容と同じで大丈夫ですので、丁寧に答えていきましょう。
二次面接の流れ
二次面接では、模擬授業や実技試験が行われることが多いです。
自分の担当教科に対する熱量や、授業のやり方などをチェックすることが目的。
- 模擬授業
授業テーマは指示されることがあったり、自分で選ぶケースもあります。教える内容というよりも、生徒への導入方法、アプローチ方法、発問内容や間違えたときのフォローの方法など、授業を通したコミュニケーション力を見られます - 実技試験
体育や音楽の先生は実技試験を設けられる場合もあり、実際に生徒に指導する様子をチェックされます。生徒への指示出しや授業の進行はもちろん、安全管理面なども見られます
模擬授業や実技試験では、当日のパフォーマンスももちろん大切ですが、どれだけ模擬授業に対して準備をしたか、も大きく評価されます(というかしていました)。
授業が下手でも、イチから授業案を考え、プリントなどの補助教材を作り、生徒(の役をしている先生たち)から答えや考えを引き出すためにさまざまな働きかけをする‥といった授業に対する姿勢が大切です。
逆に「大学の模擬授業でやったものをそのまま持ってきました」とか「教育実習用に作った授業です」というものを、そのままやる方は、残念ながら熱意が足らないという評価(不合格)をしていました。
言ってしまえば授業スキルなんて、後から練習したらいくらでも上げられます。が、授業や面接に臨む姿勢ができていないと「本当に教員になりたいと思っているの?」と熱量が感じられず、不合格にすることが多いです。
最終面接の流れ
無事に二次面接を通過すると最終面接となり、ここでは校長や理事長などの学校経営の中心となる人たちとの面接を行うことが多いです。
最終面接では、応募者がその学校の教育理念をしっかりと理解しており、学校の発展に貢献できる可能性があるかを判断されます。
- あなたはこの学校でどんな教育をしたいと考えていますか
- この学校の教員として、生徒に対してどんなことを伝えたいと思っていますか
- 5年後10年後にはどんな教員になりたいと思っていますか
といった、学校の方針と応募者の考え方をすり合わせていく場となります。
場合によっては、最終面接の中で契約や待遇面の具体的な話も出ることがあります。
偉そうな人たちが面接官なので、緊張すると思いますが(笑)、素直な考えを伝えましょう。
逆に、面接官の態度や話し方を見て「この人たちと一緒に働くのはちょっと違う‥」と違和感を感じたら、そこで辞退するのがオススメです。働き出してからも居心地の悪い職場になる可能性が高いです。
採用面接で押さえておきたい5つのポイント
では、本題の「採用面接で押さえておきたい5つのポイント」を解説していきます!
ポイントは以下の通り。
- 面接で見られているのは「あなたらしさ」
- 質問の裏にある意図を考えて、答える
- 自己分析と学校のリサーチが全ての土台
- 面接中は態度や姿勢、身だしなみにも気を配る
- 気になることは丁寧に、でも遠慮せずに聞く(逆質問)
一つずつ、具体的に見ていきましょう!
1. 面接で見られているのは「あなたらしさ」
採用面接では、自分を売り込む場だと思うと、どうしても緊張してしまうと思います。
が、面接官や人事担当が最も重視するのは応募者の「人柄」や「価値観」がその学校の教育理念と合っているかどうか、です。
自分のことを大きく見せようとしたりとか、学校の考えに自分の考えを無理やり合わせなきゃ‥ということを考えると逆に不自然になりますので、自分自身の考えを丁寧に言葉にすることが大切です。
ただ、話が長すぎたり、質問の回答になっていないような話し方をしてしまうと、悪い印象を与えてしまうので、自分の考えを「簡潔に、シンプルに」伝えられるように練習することは大切です!
人事担当が興味があるのは「あなたがどんな人で、この学校で一緒に働く上で価値観や考え方が一緒か」というところです。そこに対する思いを言語化してアピールしましょう。
2. 質問の裏にある意図を考えて、答える
何度もお伝えしているように、私立学校の採用試験では「応募者がこの学校の教員としてふさわしいか(=学校の理念や方針に共感し、それに沿って行動できる人物かどうか)」が見られています。
面接官からされる質問も、最終的には、学校にふさわしい人かどうかを見極めるためにされている質問と考えて間違いありません。
それを踏まえて、面接官からの質問の本当の意図を考えながら、答えていきます。
例えば面接官は「なぜ公立ではなく私立学校を選んだのですか?」という質問では「公立が受からなかったから私立に来ているだけでは?本当に私立で働きたいと思っているのか?」と思いながら聞いています(←性格悪いですね‥;笑)
そこまでは想像できないかもしれませんが、例えば「公立は一律で決められたカリキュラムに沿って授業を行わなければならず、”個別のニーズに合わせた教育をしたい”という私の教育観を実現できるのは、私立学校だと考えております」と公立と私立を比較して、私立の方が良いと思っている理由を自分の価値観と紐づけながら答えるのがベストです。
さらには「私立学校の中でも、御校では”生徒の個性に寄り添った教育機会の提供”を教育理念として掲げており、その考えに非常に共感しました」などと、応募した学校の特徴も絡められると説得力が増します。
一問一答のように単純に「なぜ私立学校を選んだのですか?」「教育設備が整っているからです」と答えるだけでは、ただ私立学校の特徴を述べているだけになってしまいます。その特徴をどう活かしてどんな教育をしたいのか、という考えや思いの部分を伝えていきましょう。
3. 自己分析と学校のリサーチが全ての土台
採用面接で合格をもらうために、最も大切なことは「自己分析と学校のリサーチ」です。
繰り返しですが、私立学校の採用試験では「応募者がこの学校の教員としてふさわしいか(=学校の理念や方針に共感し、それに沿って行動できる人物かどうか)」を見極められています。
自己分析をすることで、自分の価値観を明確にする。
そして、その学校が求める人物像や学校の特徴を知るためにリサーチをする。
それぞれしっかりできれば「自分はこういう人間なので、あなたの学校で働くのにふさわしい人間です」というのを、説得力と共感力を持って面接での質問に答えられるはずです!
>自己分析の詳しいやり方、学校のリサーチ方法については、コチラの記事も参考にしてください▼
4. 面接中は態度や姿勢、身だしなみにも気を配る
対面の面接でもオンライン面接でも、面接中は受け答えの言葉だけでなく、面接官に見られているところすべてに気を配りましょう。
逆に質問の受け答えが100点満点でも、見た目の印象が悪いとそれだけで不合格になることもあります。
面接官には、それぞれこんなふうに見えています。
- 清潔感がない(寝ぐせがついている、スーツがよれよれでシャツも出ている、爪が必要以上に長い、提出書類がぐちゃぐちゃ‥など)
→相手にネガティブな印象を与える可能性があることに無頓着で、生徒保護者に丁寧に対応することができないのではないか、自己管理ができない人なんじゃないか - 失礼な受け答え、横柄な態度をとる(面接官に対して馴れ馴れしい態度を取る、失礼な物言いをする)
→生徒保護者に対しても、上から目線で話をしてしまう、相手を傷つける発言を平気で言うのではないか - 極端に姿勢が悪い、話すときに目線が合わない
→コミュニケーションを取るときに、相手に対してネガティブな印象を与えてしまい、生徒保護者にも悪い影響を与えてしまうのではないか
人がコミュニケーションを取るときには、見た目の印象が一番大きな影響を与えると言われています。
メラビアンの法則とは、人と人がコミュニケーションを図る際、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で、相手に影響を与えるという心理学の法則です。
メラビアンの法則とは?|カオナビ
身だしなみにも気を配り、印象でマイナスのイメージを与えないように気をつけましょう!
視覚情報が55%に対して、言語情報がたった7%だなんて‥!何を言うかよりも、どんな見た目かの方が大切なんだ!
5. 気になることは丁寧に、でも遠慮せずに聞く(逆質問)
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれることがあります。
この逆質問タイムでは
- 自分の積極性をアピールしながら質問する
- 入職後のギャップを減らすために、気になることを質問する
ことを意識しましょう!
例えば「御校の教育理念は”自然と触れ合うことで生徒の価値観を育てる”だと理解していますが、その中でも特に重視している具体的な取り組みは何ですか?」など、学校の方針に対する具体的な活動を聞く質問は、学校の特徴を理解しようと努力している姿勢が伝わり、志望度をアピールすることができます。
また、例えば「各教員が業務のメイン担当を持つとお伺いしましたが、現在1~2年目の先輩方はどんな業務のご担当をされているのか、具体的に教えていただけると嬉しいです」と、具体的な業務内容などを聞き、実際に入職した後のイメージを具体的にしておくことも大切です。
学生の方の中には「こんな質問してしまっていいのかな?」「失礼なやつだと思われないかな」などと不安に思い、聞きたいことを聞けずにいる方もいらっしゃるかもしれません。が、安心して長く働くためにも、気になることは聞いてもらって大丈夫です。ただ、聞き方は丁寧に。
採用面接でよく聞かれる質問とその答え方サンプル
自己分析結果と学校のリサーチ結果を基に、採用面接でよく聞かれる質問へどうやって答えるのかを具体的にご紹介します!
- 【自己分析】‥自分の強みは集中力があり、根気強く一つの物事に取り組むことができること(家庭教師のアルバイト経験あり)。理想の教員像は、生徒一人ひとりのニーズに合わせて個別対応できる先生で、将来的なビジョンはコーチングやカウンセリングなどの専門分野を学び、より生徒の個別のニーズに答えられるようにしたい。
- 【〇〇学園〇〇高校の特徴】‥生徒の個性を尊重し、得意を伸ばす教育をする。教科の授業に加え、体験活動やボランティアなどを積極的に行っている。求める教員像は「教員の得意を活かしつつ、生徒に寄り添い、伴走できる人」。
例えば上記のような方がいたとします。面接でよく聞かれる質問には以下のような感じの回答になります!
- 「自己紹介をしてください」
→〇〇大学教育学部を卒業予定の〇〇と申します。私の強みは、集中力があり根気強く一つの物事に取り組むことができることです。これを活かして、生徒一人ひとりのニーズに合わせて個別対応ができる教員を目指したいと思っています。 - 「なぜ当校を志望したのですか?」
→御校の”生徒の個性を尊重し、得意を伸ばす教育活動”という考えの下、体験活動やボランティア活動など実際に生徒が参加できる取り組みを多く学校として行っている点に魅力を感じています。生徒が成功体験を積み、自分に自信を持てるキッカケが体験活動だと思うのですが、学校外の活動だと教員が最後まで寄り添うことが難しく、志半ばで諦めてしまう生徒もいると考えます。学校内での活動で様々なことにチャレンジができる環境であれば、最初から最後まで一緒に取り組むことができ、生徒の成長に寄り添えると考えたためです。 - 「学生時代で一番力を入れたことは何ですか?」
→家庭教師のアルバイトをしています。最初は得意な国語を教えられればと思っていただけでしたが、自分が働きかけることで目の前の生徒が成長していくことに、非常にやりがいと楽しさを感じました。テストの点が伸びなかったり、気分が乗らないと生徒が勉強しないなどうまくいくことばかりではないですが、根気強さを活かして粘り強く関わり続けています。 - 「当校の教員として、どんな教育をしたいですか?」
→生徒一人ひとりの個性を認め、その個性が持つ可能性を引き出すことのできる教育を行いたいです。御校の様々な体験活動ができる環境で、私が教員として背中を押し続けることで、生徒たちは大きく成長できると考えています。また、コーチングも勉強中で、それもスキルとして活かして教育活動に貢献してまいります。
このように、自己分析の結果と学校のリサーチ内容を組み合わせて、質問回答を準備しておきましょう。
紙に書き出すことも大切ですが、面接の場で自信を持って話ができるように、何度も口に出して「自分の言葉(表現)」になるように練習することも大切です!友人や家族に練習相手になってもらうのもいいですね。
こんな振る舞いはNG!面接で不合格になる人の特徴
採用面接のポイントは理解できたけど、逆に「これしたらダメ!」っていうのがあったら教えてほしい。
今までに関わらせていただいた応募者の方で、採用面接で不合格を出した方の特徴を5つに絞ってお伝えします!ぜひ参考にしてみてくださいね。
不合格を出した人の特徴5選は、以下の通り。
- 時間にルーズ、清潔感がない
→見た目が人に与える印象については説明した通りですが「時間が守れない人は、生徒保護者との約束も守れない」「清潔感がなく相手にネガティブなイメージを与えてしまう人は、生徒保護者にも良い影響がない」と判断されます。時間を守る、清潔感を出すことは気を配るようにしましょう。 - 自分の意見がない、あいまいな受け答えで自信がない
→面接で何を聞かれても言葉に詰まってしまったり、「多分…」「なんとなく…」という曖昧な表現で終わってしまう人は、信頼感を損ないます。自分の意見を持ってハキハキ答える姿勢を見せることで「信頼できる人」という安心感につながります。 - 学校のことをまったく調べていない
→学校の名前と何となくのイメージだけで、採用面接に臨もうとする方がいらっしゃいますが、少し会話をしただけで準備していないのがバレます。まったく話が通じないな‥とか、それはうちの学校のことじゃないな‥と感じると、応募者のことを信頼できず不合格となります。 - 態度が消極的、または無関心
→話しかけられても返事をしない、採用担当の指示に従わない、話を聞いていないなど、積極的にコミュニケーションが取れない方は「この方に生徒保護者をお任せすることはできない」と感じてしまいます。 - 「質問はありますか?」(逆質問)という問いで、何も質問ができない
→逆質問タイムで何も質問が出ない人は、学校への興味関心が低い、あまり具体的に自分が働くことをイメージしていないんだろうな、と感じます。何も聞くことがなくても「本日〇〇についてお伺いしようと思っていましたが、先ほどのお話の中で理解しました。ありがとうございました。」と伝えると印象が上がります!
「ホントにそんな人いる?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にいろいろな方と関わらせていただくと、いらっしゃるんです。
ぜひこのNGポイントも参考にしていただいて、採用面接の準備をしてくださいね!
まとめ
今回は、私立学校を目指して就職活動中の大学生のみなさんに向けて、採用面接で必ず押さえておきたい5つのポイントを解説してきました。
ポイントは以下の5つ。
- 面接で見られているのは「あなたらしさ」
- 質問の裏にある意図を考えて、答える
- 自己分析と学校のリサーチが全ての土台
- 面接中は態度や姿勢、身だしなみにも気を配る
- 気になることは丁寧に、でも遠慮せずに聞く(逆質問)
繰返しになりますが、私立学校の採用面接で一番見られているのは「応募者がこの学校の教員としてふさわしいか(=学校の理念や方針に共感し、それに沿って行動できる人物かどうか)」です。
採用担当や学校の責任者と直接話をするのは、どれだけ準備しても緊張すると思いますが、自分の考えを率直に言語化して、いかに自分が学校にふさわしいかをアピールしてくださいね。
みなさんの理想の教員ライフが実現できるよう、応援しています。今回の記事が参考になれば幸いです。
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