通信制高校で働くのって、実際どうなの?「やめておけ」と言われることも多いって聞いたけど‥
教員として働くのがしんどいから転職を考えているのに、通信制高校の教員はやっぱりしんどいのかな‥やめておいた方がいいかな。
通信制高校で教員として働くことを考えているみなさん、こんな不安をお持ちではないですか?
実際にネットなどで検索してみると「通信制高校の先生はツライことが多いからやめておいた方がいい」「通信制に通ってくる生徒の対応はやっぱり大変‥」などなど、いろんなことが書かれていますよね。
そんな言葉を目にすると「やっぱりやめておいた方がいいかな‥」と不安になって当然です。
そこで、今回のこの記事では通信制高校での勤務経験を基に、通信制高校で働くことの良い面と悪い面を包み隠さずお伝えします!
~自己紹介~
教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
この記事を読むと分かること
- 通信制高校で働くことが「難しい」と言われる理由
- 実際に働いている教員の声
- 通信制高校で働くのに向いている人の特徴
- 通信制高校で働くことのメリット
ぜひ、最後まで読んでいただき、あなた自身が「通信制高校で働くことに、本当に向いているか」を判断してみてくださいね!
ちなみに筆者自身は、教員として働くなら私立の通信制高校は魅力的な選択肢の1つだと思っています!
通信制高校で働くことが「難しい」と言われる5つの理由
さっそく結論からですが、通信制高校で働くことが「難しい」と言われる理由を5つに整理してご紹介していきます!
みなさんも、友人から言われたりネットで見かけたりすることがあることが多いのではないでしょうか。
1.生徒指導の難しさ
通信制高校に通ってくる生徒は、多様な背景を持っています。
例えば、小中時代に不登校経験がある、保護者が不在、病気を抱えている‥などなど、そんな環境で育ってきている生徒たちに対し、全員に合った指導をするのは簡単ではありません。
コミュニケーションが取りづらい場合も多く、信頼関係を築くのに時間がかかることもあります。
他にも、予定通りに行かない(ハプニングが多い)、学力が想像以上に低くて教えるのが大変(不登校だったため)、普通の感覚が通じない‥などいろんなことが起こります。
また、家庭によっては保護者対応も複雑で、「手に負えない‥」と感じてしまう方も多いようです。
2.給与と待遇の問題
通信制高校の給与は、特に非常勤講師の場合、全日制の教員よりも低いことがあります。
どのような働き方で契約をするか次第なところもありますが、業務の大変さと給与水準の低さのアンバランス感は(全日制も含めて)教員の共通の悩みかもしれません。
それでも私立学校は、学校の業績によっては給与水準が高くなることも多いです。公立学校と比べてコスパよく働ける可能性は大きいですよ!給与額は必ず入職前に確認しましょう。
3.業務の種類の多さ
通信制高校では、授業以外にも進路相談やカウンセリング、授業のカリキュラム作成など、業務内容が多岐に渡ります。
またそれに加えて、個別対応のアレンジなどが必要な場合も‥。
これらを一人でこなす負担感から「やめておいた方がいい」と言われることもあります。
ちなみに筆者が勤務していた学校では、教員1人当たりの担当生徒数が30~45人でした。毎日全員が通ってくるわけではないので、目の前で対応しないといけない生徒も日によっては10人くらい。また授業もオンラインで統一だったので、授業の負担も全くありませんでした。
4.ストレスがかかる
多様な背景を持っている生徒だからこその、多様な課題を生徒は抱えています。
例えば、外に出てこれずコミュニケーションが苦手、起立性調節障害を持っているので時間通りに動けない、家庭環境が悪い‥など、一般的に「普通」と言われることに対して苦手意識を持っている生徒は確かに多いです。
それらの生徒の問題を自分ごとのようにとらえ過ぎてしまい、ストレスに感じたり精神的に疲弊してしまうケースも少なくありません。
そういった意味でも「通信制高校の教員は難しい」と言われることもあるようです。
5.孤独感
通信制高校は全日制と比べて、働く教員の数が少ないので、周りとの連携がない‥誰も協力してくれない‥と悩むことも。
また、通信制高校で働くことについてのイメージを持っている方もまだ少ないので、周りの友人などにも自分の仕事がいかに大変かが理解されにくいこともあるようです。
「自分一人でこんなに大変な仕事をしているのに、誰もわかってくれない‥」と孤独を感じてしまう方もいらっしゃいます。
こんなに大変な環境なら、それはやめておけと言われても当然かも‥
通信制高校の教員の魅力とやりがい
「働くのは難しい‥」と言われる理由がある一方で、通信制高校ならではの働く魅力も多く存在しています。
次に、通信制高校の教員の魅力とやりがい、メリットをご紹介しますね!
1.個別対応や新しい教育ができる環境
全日制の学校では、決められているカリキュラムに基づいて自動的に授業内容が決まり、進路選択も「一般的に良い」と言われている進路を進め、受験指導なども「より偏差値の高い学校を目指して‥」というのが一般的な教育です。
もちろん、生徒の希望に沿って細かく対応をしていくこともありますが、それでも「もっと個別で対応したい」とか「生徒一人ひとりに寄り添った教育をしたい」と思う先生方も多いです。
その点通信制高校では、一人ひとりのニーズに合わせた個別の対応がメインの仕事になります。
試行錯誤することもあるかもしれませんが、それが生徒のニーズにピッタリとはまり、生徒の大きな成長につながることはとても大きなやりがいです。
また、通信制高校では「授業出席日数の制限が少ない」という特徴から、さまざまな体験活動に力を入れている学校も多いです。
ネットリテラシーを高める授業や、実社会とのつながりを重視した活動、ボランティアや留学などなど、全日制の学校ではまだまだ取り入れられない「新しい教育」を実践している学校もあります。
そういう教育に興味のある先生方は、とても楽しく働ける場所になるはずです!
教育や学習方法に関して、いろんなアイディアがある方は、活かせるチャンスかも!
2.働き方の多様性
全日制の学校のように、担当生徒が毎日学校に通ってきて目の前にいるわけではないですし、面談もオンラインで行ったりするのが通信制高校の日常。
それをメリットと捉えて、教員が働きやすい環境が整っている場合も多いです。
例えば、毎週〇曜日は在宅で働く、午前は在宅で午後は学校へ行く‥など、フレキシブルなスケジュールが導入されている学校もありますよ。
教員とは無縁だと思われている「ライフワークバランス」が実現できることもあります!
実際筆者が働いていた学校では、朝は始業の10分前に出勤で残業ナシが当たり前の職場でした。そうじゃないと学校の先生が辞めてしまうという(当たり前の)ことに気づいている学校は、働きやすい環境が整っていますよ!
3.教員として成長できる
さまざまな背景を持つ生徒が在籍する通信制高校では、生徒というよりも一人の人として、さまざまな価値観に出会うことができます。
自分が当たり前だと思っている考え方や価値観が、生徒との出会いで大きく変わり、それが教員としての経験値として貯まっていきます。
最初は初めてのことばかりで大変な対応も多いかもしれませんが、経験を積むことで教員としての幅も広がっていきます。
ずっと通信制高校で働くという選択でなかったとしても、転職の際には有利になる経験が積めること間違いなし。
>通信制高校で働くやりがいについては、コチラの記事も参考にしてくださいね!▼
通信制高校で働く教員のリアルな声
ここで今まで筆者が関わらせていただいた、通信制高校で働いている先生方の声をご紹介します。
分かりやすく、良い点(メリット)と大変な点(デメリット)で分けてみます。
■良い点(メリット)
■悪い点(デメリット)
学校の先生として働いている人なら普通に感じそうなことが多かったかも。通信制高校だから‥ということはあまりないのかな。
通信制高校の教員に向いている人の特徴
通信制高校の教員として働くことのメリットデメリットが分かったところで、具体的にどんな方が通信制高校の先生に向いているのかを、人事担当の目線を交えながらご紹介していきます!
柔軟性のある人
生徒の状況や目の前の状況に応じて、臨機応変に対応ができる柔軟性のある人は、通信制高校の先生に向いています。
集団行動が基本な全日制の学校では、生徒全体に対して一括で指示を出すことが多いですが、通信制高校ではより個別の指示が必要になります。
また生徒のさまざまな背景に応じた個別の対応が必要だったり、計画通りに行かないことも多いです。
そういった生徒を相手に、理解を示し柔軟に対応できる人はストレスなく働くことができます。
受容の気持ちが強い人
相手のことを理解し、相手のペースに合わせて物事を進めることのできるといった、受容の気持ちが強い人も、通信制高校での勤務に向いています。
父性と母性でいえば、母性が強い方ですね。
通信制高校に在籍する生徒の中には、人とのコミュニケーションを苦手としていたり、信頼関係を築くのに時間がかかったりする生徒もいます。
そういった生徒に寄り添って、その生徒のペースに合わせて成長を見守りたいという方はオススメです。
型にはまらない教育をしたい人
通信制高校では、生徒によって学習ペースや目標が異なるため、型にはまらない指導を楽しむ気持ちが大切です。
また、テストの平均点が出てくるような成果が分かりやすい全日制の学校とは異なり、生徒それぞれの成果がスグに現れるわけではありません。
生徒の可能性を信じて寄り添い続け、いろいろな角度からサポートし続けることが必要です。
そのため画一的な教育手法ではなく、新しい教育メソッドや新しい教育ツールなどを用いた教育を受け入れられる方は、すごく向いています!
通信制高校に限らず私立学校は、各学校でさまざまな特徴を持っている学校が多いので、その意味でも自分が楽しく教育に取り組める手法やツールを持っている学校を探すことが大切です。
ストレスコントロールできる人
もう1つ、これは全教員に共通することかもしれませんが、通信制高校で働くのに向いている人は「ストレスコントロールできる人」です。
繰り返しですが、さまざまな背景や課題を抱えている生徒たちと関わる中で、生徒の問題を自分の問題と捉えてしまって必要以上に抱え込んでしまう方もいらっしゃいます。
教員としてできることとできないことを明確に区別して、自分の役割と外部の専門支援機関に頼ることをハッキリさせることが、自分のストレスをコントロールすることにつながります。
また、ストレスを感じたときに、意識的にリフレッシュしたり自分をケアできるスキルを持っている人も、安心して通信制高校で働くことができるかなと思います!
教員は職業柄、責任感の強い方が多いですが、ある程度自分の問題と生徒の問題を切り離して考えられるスキルは、長く教員を続けていく上では大切です!
まとめ
今回は、通信制高校の教員は難しい?という疑問に対して、実際に働いている先生の様子や人事の経験を基にご紹介してきました。
通信制高校で教員として働くことは、いわゆる「普通の学校」とは違うところが多いので不安に思われる方も多いかもしれませんが、それ以上にやりがいや成長も大きいです。
また、通信制高校を運営している学校法人によっては、お給料や労働環境も公立よりも良いというところも少なくありません。
先生として長く働きたいと思っている方にとっては、安心の環境ですよね。
個人的には、生徒一人ひとりのニーズに寄り添った教育をしたい、新しい教育のカタチに興味がある、教員としてのスキルアップをしたい!という方には、とてもオススメです。
ぜひ、通信制高校の教員として働くことも選択肢の一つとして考えてみてください!
「自分らしく先生として働く」を叶えられるよう、参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました^^
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