
教員採用試験でよく聞かれる「理想の教員像」ってどうやって答えたらいいの?



答え方によって合格のしやすさとか変わってくるのかな?なんて答えるのがベストなの?
教員採用面接で必ずと言っていいほど聞かれる「理想の教員像」、どうやって答えたらいいのかお悩みではないですか?
実はこの質問はとても奥が深くて、単純に「子どもたちの成長をサポートしたいです!」と答えるだけでは、面接官の心には響きません。
「理想の教員像」の答え方1つで、合格の可能性が大きく変わることもあるくらい重要な質問なのです。
今回は、私立学校での人事担当の経験を基に「理想の教員像」を聞かれたときのベストな回答方法を、3ステップで解説していきます!
~自己紹介~
私は教員一家に生まれ、両親・叔父叔母・祖父はみんな公立小中高の先生。そして自身は英会話講師 → 私立高校で教員 → 今は教育関連企業で会社員しています。
教育業界で10年。そのうち8年間は人事を担当。教育業界での採用や転職に長く関わってきました。その経験をもとに、記事を書いています。
この記事を読むと分かること
- 理想の教員像を通して、人事が知りたいと思っていること
- 理想の教員像NG回答例
- 人事の印象に残る、理想の教員像の考え方・答え方
- 理想の教員像答え方のサンプル
ぜひ、最後まで読んでいただき、自信を持って教員採用面接に臨んでもらえるようになれば嬉しいです!
>教員採用面接でよく聞かれるその他の質問については、コチラも参考にしてください▼


「理想の教員像」が重要な理由:面接官の意図


まずはじめに、そもそも「理想の教員像」を通して面接官が知りたいことが何なのかを理解しましょう。
質問の意図が分かれば、面接官の印象に残る答えも作りやすくなりますね!
面接官が「理想の教員像」を聞くことで知りたいことは、以下の5つです。
- 自分が教員として働くことを具体的にイメージできているか?
アルバイトなどの経験から、教員として具体的にどんなふうにふるまうべきかイメージができているので、教員として働く未来が想像しやすい - どんな教育観、教育理念を持っているのか?
教員になる上で大切にしている考え方を知りたい - 教員としての適性や資質を持っているか?
責任感を持って教育に取り組もうとする姿勢があるか、協調性や柔軟性、問題解決能力などがあるか(身につけようとしているか)を知りたい - 自分のことをきちんと理解しているか?
自分の長所短所を把握して、それを教育に活かそうとしているかを知りたい - 学校とのマッチングに問題はなさそうか?
学校の教育理念に共感していて、入職後に学校に貢献してくれるかを確認したい
子どもが「先生になりたーい!」と言っているのとは違って
- 具体的に
- 現実的に
- どのような考えを持って
- どんな教員になりたいのか
を示してくださいね!というのが、この「理想の教員像」の質問というわけです。
学校の考えとうまく合致すれば、この先生の成長と学校の発展がリンクし、人事としても先生の成長をサポートしていこうという!という気持ちになります。



こんな教員になりたい!と夢だけ大きく語ってくれる方もいますが、「現実が見えていないかも‥」と正直心配になります。
「理想の教員像」で避けるべき3つのNGポイント


実際に「理想の教員像」を作っていく前に、避けるべきNG例をご紹介していきます!
NG1:抽象的で具体性のない理想論
たとえば「子どもたちの成長をサポートしたいです」「生徒に寄り添う先生になりたいです」など。
言っていることは確かに素晴らしいことですし、それができたらいいなと誰もが思いますが、それだけでは面接官には伝わりません。
なぜなら、先生なら誰もがそう思うものだから。
- どうやって生徒をサポートするのか
- どうやって寄り添うのか
- それによって生徒はどうなるのか
といった具体的な行動や成果(生徒の変化)を一緒に伝える必要があります。
NG2:学校の教育方針とズレている回答
たとえば、学力を上げて合格実績を大事にしている学校で「生徒の個性に寄り添う教員になりたいです」とか、反対に体験活動を重視している学校で「学力向上に貢献できる教員になりたいです」とか。
応募先の学校の教育理念とズレた内容で答えてしまうと、面接官は「うちの学校には合わない人だな」と判断します。
学校の教育理念をしっかりとリサーチして、どんな教員が求められているのかを把握したうえで、自分の理想の教員を回答していきましょう。
NG3:模範解答をそのまま言うだけ
教員採用試験の対策本やネット上で調べた「模範解答」をそのまま暗記して話すのも避けた方が良いです。
面接官は何人もの応募者と話をしているので、これは何となくそれっぽいことを言っているな~というのは簡単に見破ります。
- これまでの体験や経験に基づくエピソード
- 自分の長所を活かそうとしている
- 個性が伝わってくる
といった内容で「理想の教員像」を準備しておくことが、とても大切です。



戦略的に「理想の教員像」を伝えていきましょう!
合格に近づく「理想の教員像」回答の3ステップ


それではいよいよ、面接官に好印象を残せる「理想の教員像」を作っていきましょう。
回答を作る3つのステップは、以下の通りです。
- 自己分析を通して自分の教育観を深掘りする
- 学校の教育理念をリサーチする
- 具体的な行動とエピソードで説得力を出す
具体的に1つずつ、見ていきましょう。
①自己分析を通して自分の教育観を深掘りする
まずは、自分自身の教育観をしっかりと深掘りすることで、理想の教員像を語る【土台】を作っていきます。
就職活動を通して自己分析をしていくと思いますが、「なぜ教員になりたいのか」を具体的に言語化していくステップです。
以下の質問に答えてみてください。
- 学生時代の印象的な先生は、どんな先生でしたか?
- 教育実習やボランティア、アルバイトで子どもたちと関わる中でどんなことを学びましたか?
- どんな時に「教員っていいな」と強く感じましたか?
そうすると、自分にとって「こんな先生っていいな」と感じる特徴がいくつかキーワードとして出てくると思います。
例えば「いつも前向きに背中を押してくれる」「先生自身がイキイキしている」「失敗するほど経験できると教えてくれた」など。他にも「感情豊か、おおらか、主体性を認めてくれる、たまに厳しい、行動で示してくれる、元気、公平な態度‥」などなど。
自分の過去のできごとから、「理想の教員像」の土台となるキーワードが出てくると思います。
ここでは仮に「いつどんな時でも前向きに背中を押してくれる先生」としておきましょう。
次がとても大切です!
その理想の先生は「どんな時にどんな行動が取れるか」を具体的に考えてみましょう!
今言語化して出てきた理想の先生は、実際にどんな行動をするのでしょうか?
次のシーンで考えてみてください。
- 授業中:理想の先生がする、良い授業とはどんな授業ですか?
- クラス運営:理想の先生は、どんな雰囲気のクラスを作っていますか?
- 面談:理想の先生は、面談時にどんな話をしていますか?
- 生徒の成長:理想の先生と関わると、生徒はどんな力が身につきますか?
学校の日常のシーンで、具体的にどんな行動をするのか(していくのか)を言語化することで、ただの理想論から現実感のある「理想の教員像」を作ることができます。
例えば、「いつどんな時でも前向きに背中を押してくれる先生」は
- 授業中には、生徒の興味関心のあるトピックで楽しい雰囲気で授業を進める。やったことないことでも「やってみよう!」と背中を押してくれる。
- クラス運営では、いろんなことにチャレンジしやすい雰囲気を作っている(失敗を非難しない、チャレンジしたことを褒め合える関係性)
- 面談では、人知れず努力していることや、今頑張って取り組んでいることをきちんと把握して認めてくれる。人の話をしっかりと聞いてくれる。
- そんな先生と関わると、生徒は自分で主体的に動ける力がついて、いろんなことに前向きに取り組めるようになる
といった感じです。
面接で全てを話すわけではもちろんありませんが、理想の先生は具体的にどんな行動をするのかまでイメージができていると、回答に説得力が増します。



教育実習やアルバイトなどを通して、ロールモデルになるような先生との接点がたくさんあると良いですね!
>自己分析についての詳細は、コチラの記事も参考にしてくださいね!▼


②学校の教育理念をリサーチする
当たり前ですが教員採用試験では、自分の理想をただ語るだけでは当然ダメで、実際に働く学校で「その理想がどのように実現できるのか、どう学校に貢献できるのか」を示すことが大切です。
そのためにも、応募する学校で「どんな教員が求められているのか」をしっかりと把握しましょう。
- 学校の教育理念
- 特徴的な活動や学校行事
- 活躍している先生の特徴
などを学校の公式サイトやパンフレットなどで徹底的に調べてみてください。
そうすると例えば「体験活動を大切にしている」「ICT教育の推進」「生徒の主体性を伸ばす探求活動」など、学校が大切にしている具体的なキーワードが出てきます。
学校が大切にしているキーワードが出てきたら、ステップ①で出した「自分の理想の教員像」との共通点を見つけていきます。
例えば「私が理想とする「いつどんな時でも前向きに背中を押してくれる先生」は、御校の「主体性を伸ばす探求活動」で貢献できると考えています」といった感じで、分かりやすくリンクさせます。
独りよがりの「理想の教員像」を持つだけでなく、その理想の教員は「あなたの学校に貢献できますよ」ということを伝えていきます。



あくまでも「教員採用試験」ですので、採用担当は学校にとってプラスになるのかを必ず確認します!
>学校のリサーチについては、コチラの記事に詳細をまとめています▼


③過去のエピソードと具体的な行動で説得力を出す
自己分析で自分の教育観を深掘りして、学校の教育理念とリンクさせたら、最後はその理想が「どんな背景があるのか」「実際にどう実現できるのか」を具体的に示し、説得力を持たせます。
過去の経験とエピソードを加えて、具体性を持たせる
自分の「理想の教員像」が出てきた背景をエピソードとして伝えることで、自分ならではのストーリーを伝え、説得力を持たせることができます。
例えば、
「〇〇のボランティア経験で、私は△△の重要性を学び、その経験を基に□□という理想の教員になりたいと思っています。」
「〇〇という理想の教員になりたいと思っています。その背景は、教育実習で生徒に寄り添い、話を重ねる中で自分の得意に気づいて自信を持てるキッカケになれたという経験があります。」
伝える内容はどんなことでも構いませんが、理想の教員像を作った背景にあるエピソードを伝えましょう。
理想を語るだけでなく「どう実践するのか」を説明する
また、抽象的な言葉だけでは他の応募者との差別化ができないので、「その理想を叶えるために、どうやって行動していくのか」を具体的に伝えていきます。



ここが人事が一番注目するところですね!
例えば、こんな感じ。
- 生徒に寄り添う
→一人ひとりの話に耳を傾け、家庭環境や学習状況に応じて個別指導や声かけをします - 主体性を育む
→課題解決型のワークを導入し、生徒たちが自ら考え、行動する機会を多く提供します - 協調性を育む
→グループワークやディベートを積極的に取り入れ、異なる意見を持つ仲間と協力する機会をつくります - 創造性を引き出す
→正解が一つではない問いや課題を設定し、失敗を恐れずに多様なアイディアを出し合い、表現できるような探求的な活動を行います
「生徒に寄り添う、主体性」など、教員志望の方であればよく使う表現を、具体的に「〇〇します」と説明を加えることで、具体的にこうやって行動しようと考えています!とアピールできますよ。
【例文】面接官に響く「理想の教員像」の回答


それでは、上記のステップを踏んで理想の教員像を作ってみましょう!ここではサンプルを3つ、ご紹介します。
おさらいですが、
- 自己分析
- 学校研究(リサーチ)
- 具体例
の3つが大切でしたね!
回答例を参考に、ご自身の「理想の教員像」の回答も作ってみてください。
回答例①
私は、生徒一人ひとりの探求心を大切にし、自らの学びを深める楽しさを伝えられる教員になりたいと思っています(理想の教員像【結論】)。
高校時代のテニス部で、どうしたら効率的な練習ができるかをみんなで話し合い、決めた練習メニューに取り組み、結果が出た経験を通して、一方的な知識伝達ではなく、生徒自らが主体的に問いを立て、解決して目標に向かっていくことの重要性に気づきました(過去のエピソード)。
貴校の「社会と連携した探求活動」という特徴は、私の理想と非常に合致しており(学校研究)、生徒が社会課題に向き合い、実践的な学びを深める活動の中で、私は社会との窓口としていろんな大人と生徒をつなぐ役割、そして新たな気づきを与えるキッカケとしてサポートしていきたいと考えております(具体的な行動)。
回答例②
私の理想の教員像は、生徒一人ひとりの声に耳を傾け、安心して自己表現できる場を創る教員です(理想の教員像【結論】)。
大学時代に経験した学習塾でのアルバイトで、自信がなく発言できなかった生徒に対して、粘り強く話を聞き、小さな成功を認め続けたことで積極的に意見を述べられるようになった経験があります。この経験から、生徒が「自分は大切な存在だ」と感じられることが自信の源になると確信しました(過去のエピソード)。
貴校の「豊かな心を育む教育」は、まさに私が目指すところです。特に「定期的な個別面談」や「心のケアに力を入れている」点に魅力を感じています(学校研究)。
教員になった暁には、日々のクラス運営はもちろん、休憩時間や放課後にも積極的に生徒に関わり、生徒が自由に感情を表現できるジャーナル活動を導入するなどして、生徒たちの個性と自己肯定を育んでいきたいと考えています(具体的な行動)。
回答例③
私は、ICTを効果的に活用し、生徒の創造性を引き出し、みらいを切り拓く力を育む教員になりたいと考えております(理想の教員像【結論】)。
大学でプログラミングサークルに所属し、アプリケーション開発に取り組んだ経験から、デジタルツールを使って個々のアイディアが形になり、新しいものを生み出す楽しさを知りました。この経験から、教育現場でICTの可能性を追求したいという思いにつながっています(過去のエピソード)。
貴校の「GIGAスクール構想の推進と、それに伴うICT教育の強化」という方針は、私の教育観と合致しており、非常に興味を持っています(学校研究)。
私は教員として、ただデジタル機器を操作するだけでなく、生徒がAIやVRを活用して創作活動を行える機会を提供していきたいと考えています。変化の激しい社会で生き抜く力を身につけ、生徒たちが社会で活躍できる力を身につけられるよう貢献したいと考えております(具体的な行動)。



言葉は違っても、3つのポイントを抑えて伝えることが大切ですね!
「理想の教員像」仕上げのチェックリスト


ご自身の「理想の教員像」の回答ができたところで、最後にこれだけは確認しておいてほしい!というチェックリストをご紹介します。
書類提出前や面接前に、仕上げのチェックとして活用ください。
- 十分な自己分析を行い、自分の教育観を深掘りできているか
- 志望校の研究は十分できていて、自分の教育観とリンクできているか
- 具体的な行動やエピソードを加えられているか
- 丸暗記ではなく、自分の言葉で語れるように練習しているか
- ポジティブな姿勢と熱意が伝わるか
繰り返しになりますが、友人との雑談ではなく教員採用試験の場であることを想像して、抜けもれなく準備をしましょう!
面接前であれば、自分の言葉で面接官に伝えられるように伝える練習も忘れずに。
ご自身の想いをしっかりと面接官にアピールしていきましょう!
まとめ
今回は「理想の教員像」の回答について、人事の経験を基に3ステップで解説してきました。
理想の教員像を作る3ステップは、
- 自己分析を通して自分の教育観を深掘りする
- 学校の教育理念をリサーチする
- 具体的な行動とエピソードで説得力を出す
でした。
小学生の夢のように「ただこんな先生になりたいんです!」と無邪気に伝えるだけではなく、「なぜそう思うのか、具体的にはどんな行動をするのか、どうやって学校や生徒に貢献するのか」をしっかりと伝えていきましょう。
ぜひ、面接官の心に届く「理想の教員像」を作っていただく参考にしてもらえれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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